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蹴球解説!アギーレのサッカーが「攻撃的」である理由 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 しかし、それは正しい解釈なのだろうか。

 ザックジャパンのサッカーは、本当に攻撃的サッカーだったのだろうか。総括すべき、一番のポイントと言っていい。そこのところを明確にしなければ、次に進むことはできない。アギーレのサッカーがいかなるものか、不鮮明さは増す。世の中は混沌とするばかりだ。

 そもそも攻撃的サッカーとは何なのか。

 攻撃的サッカーと言えば、かつてはオランダの専売特許だった。74年W杯準優勝で、それは決定的なものになった。リナス・ミホルス監督が唱えた「トータルフットボール」を、主将として実戦したヨハン・クライフは、攻撃的サッカーについてこう述べた。「相手陣内でプレイする時間が長いサッカーだ」と。

 80年代後半、プレッシングサッカーを唱えたアリゴ・サッキは、リナス・ミホルスのトータルフットボールを「発明だ」と表現し、こう続けた。「それが出現する前と後で、サッカーの概念は180度変わった。プレッシングサッカーは、そのリナス・ミホルスの延長上にある考え方だ」と。

 相手陣内でプレイを続けようとすれば、攻め続ける必要がある。パスを繋ぎまくる必要がある。だが、ボールは奪われる。それがサッカーだ。それでも相手陣内でプレイしようと思えば、可能な限り早くボールを奪い返す必要がある。

「できる限り高い位置でボールを奪い返し、相手の守備陣が整わぬうちにゴールに迫る」とは、アリゴ・サッキが述べたプレッシングサッカーの概要になるが、イタリア人のある評論家は、このサッカーを「攻撃的守備」と表現した。

 高い位置でボールを奪う行為、すなわちプレッシングは、守備の戦術であることは確かだ。しかし、それは守備的サッカーを意味しない。

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