本格派アタッカー不足の日本代表。その理由と対処法 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by JMPA

 高さに特徴があるハーフナー。彼もまた大迫、柿谷同様、骨太な本格派のストライカーではない。よく言えば、一芸に秀でたストライカーだ。しかし、周囲がその一芸を尊重しなければ、存在意義はなくなる。単なる線の細いストライカーになる。そしてその結果、ハーフナーは最終メンバーから外された。似たような問題を抱える豊田陽平も、同様に選から漏れた。

 にもかかわらず、ザッケローニは、ブラジルW杯本大会初戦(対コートジボワール戦)の終盤、ロングボール作戦を敢行した。選手もそれに従った。支離滅裂な状態に陥った。

 線の細いストライカーを問題視するのは簡単だ。しかし、日本は本格派のストライカーが誕生する土壌に恵まれていない。無い物ねだり同然の環境に陥っている国なのだ。

 2010年南アフリカW杯で、岡田監督が本田を「0トップ」に起用した作戦は、そうした問題の対処法として、理に適ったものだった。10番選手を9番に変身させる作戦と言えば分かりやすいが、ザッケローニはこれを「異端」と言って、ほとんど採用しなかった。しかし、ブラジルW杯本大会の初戦で、本田は終盤、CFの位置に座っていた。ザッケローニは、日本が抱えるフォワードの問題と、最後までキチンと向き合うことができなかった。

 本田はある意味で本格派だ。大迫、柿谷、ハーフナー、豊田より、1人で解決する力がある。ドリブル&シュート、かわしてシュート。見る側にシュートの予感を抱かせることができる。最後のキックに持っていく道筋が、何となく見えるのだ。

 本田のプレイを見ていると、逆に日本のCFに不足している要素が見えてくる。ドリブル下手、キック下手。フェイントもない。サイドに出ると、うまくプレイができない理由でもある。

 実はそれは4-2-3-1の3の両サイドを務める選手にもあてはまる。

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