本格派アタッカー不足の日本代表。その理由と対処法 (2ページ目)
野球の花形である投手は、上背があるほど好ましいと言われる。一方、サッカーでは、子供たちの憧れは10番で、こちらには身長はさほど求められていない。上背があった方がいいとされる9番は、ポジション的な魅力で10番に劣っている。センターフォワード(CF)というポジションが魅力的に見えないので、それに相応しい人材が集まらない。そうした側面も確実にあるのだ。
CFの人材難は、中盤大好きの日本人気質とも密接に関係する。日本の社会も後押ししている。「出る杭は打たれる」の「出る杭」になることを日本人は嫌う。シュートを打って外せば、「なぜそこでパスをしないんだ」と責められる。シュートは、ある意味で強引な行為だ。思い切りよく打って外せば、白い目を向けられる。
何事も和を尊ぶ学校スポーツとの相性も悪い。強引なプレイを続ければ、仲間はずれにされ、いじめの対象にさえなる。なぜ日本には良いストライカーが出てこないのかという問題は、サッカー界だけで解決することはできないのだ。
大迫勇也、柿谷曜一朗。ザックジャパンで1トップ、CFを張った両選手も結局、主役になることはできなかった。ポストプレイが得意な大迫。裏に抜ける動きに光るものがある柿谷。両者は「本格派」ではない。周囲との連携が不可欠なタイプだ。しかし、彼らはその連携プレイにおいてイニシアチブを握っていない。中盤選手とは受け身の関係にある。偉いのは中盤選手。ザックジャパンは、大迫、柿谷の都合より、本田圭佑、香川真司の都合の方が優先するサッカーをした。
つまり物事を、ゴールを奪うという最大の目的からフィードバックして考えることができなかった。
ある時期までザックジャパンの一員だったハーフナー・マイクは、終盤に投入されることが多い選手だったが、他の選手たちは、彼が投入された後も従来通り、独自のパスサッカーを繰り広げた。194センチというその身長を無視するように。
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