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豊田陽平、W杯日本代表入りにかけた半年間を振り返る

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AFLO

短期集中連載・世界に挑む男たち~豊田陽平(1)

 5月12日、ブラジルW杯日本代表のメンバー23人が発表された。ザッケローニが読み上げたリストにその名前はなかった。W杯出場のためにすべてをかけてきたこの半年。その壮絶な日々に密着した。そして現在――豊田陽平の挑戦は終わらない。

Jリーグで今季ここまで8ゴールをあげている豊田陽平(サガン鳥栖)Jリーグで今季ここまで8ゴールをあげている豊田陽平(サガン鳥栖) 2013年12月、佐賀県鳥栖市。豊田陽平は試合後に訪れた焼き肉店で、どうにか一人前を食べきった。試合後は食欲が湧かない。シーズン終盤は、気力を振り絞っての戦いだった。

「ブラジルW杯に行くには、"ゴールという形で自分を発信し続けるしかない"と思っています」

 豊田はどこか近寄りがたい雰囲気を出しながらこう続けた。

「自分のステップのために、W杯を考えている選手もいます。それはそれでいいですけど、僕の場合、"日本のために戦いたい"という気持ちが強いんです。国家を強く意識させられるようになったのは、(サガン)鳥栖に韓国人スタッフや選手が多いせいでしょうかね? 彼らは常に"お国のため"という意識がある。日本人としての矜持(きょうじ)を、W杯という大舞台で見せたいんです」

 豊田は思い出す。2008年の北京五輪メンバー発表の日だった。彼は当時所属していたモンテディオ山形のチームメイトたちと河原に集まり、「芋煮会」を楽しんでいた。芋煮は、里芋、玉こんにゃくなどを鍋に入れ、ごった煮する山形の郷土料理。地元ではバーベキューよりもポピュラーなピクニックスタイルらしい。その最中、携帯電話が着信し、彼は「メンバー選出」の報告を受けた。

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