いざW杯へ。キプロス戦で見えた日本代表の好材料とは

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 ワールドカップ前に行なわれる国内最後の試合、キプロス戦で、日本代表が勝利を収めた。スコアは最少得点による1-0。

 ワールドカップブラジル大会・ヨーロッパ予選グループEで最下位に終わったキプロス(現在FIFAランキング130位)を相手に、日本が敵陣に押し込んで戦う時間は長く、ピッチを横に広く使い、タイミングよくワンタッチパスで縦にスピードアップするという、狙いどおりの攻撃も見られた。

先発出場してゴールを決めた内田篤人先発出場してゴールを決めた内田篤人 昨年、コンフェデレーションズカップで3連敗を喫し(ブラジル、イタリア、メキシコと対戦)、世界の分厚い壁にはね返されて以降、それまで積み上げてきたものに自信が持てず、やや迷走した時期もあったが、ようやく本来の姿を取り戻したように見える。

 ザッケローニ監督は「指宿キャンプでフィジカルトレーニングをやってきたので、選手の体は重い状態」だと話していたが、存外、各選手ともよく動けていた。午前午後の2部練習が続いたキャンプではフィジカルトレーニングのほか、時間をかけて基本的な戦術確認のおさらいができたことで、選手が迷いなく動けるようになっていたのではないだろうか。

 とはいえ、まだまだ本番へ向けた調整の初期段階。指揮官が「ワールドカップの初戦に100%で臨めるように準備したい」と話すように、あまり試合内容をどうこう言っても仕方がない。

 むしろ、この試合で得た最大の収穫は、所属クラブで長く戦列から離れていた負傷者、すなわち内田篤人、長谷部誠、吉田麻也の主力3選手が、順調な回復ぶりを見せてくれたことである。

 3人のなかで、唯一先発でピッチに立ったのは内田。試合序盤は積極的にボールを呼び込む姿勢が感じられず、どこか恐る恐るプレイする様子がうかがえた。

 それでも、時間の経過とともに敵陣に入って行く回数を増やし、少しずつ"らしさ"が見えていた43分、果敢にペナルティエリア内に入っていき、決勝点となるゴールを決めた。

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