U-17女子W杯。優勝の要因は「大胆コンバート」

  • 早草紀子●文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 2011年ドイツ女子W杯で優勝したなでしこジャパン以来の世界一を、リトルなでしこがU-17女子W杯で成し遂げた。しかし、準決勝から決勝までの4日間でチームには、さまざまなハプニングが起こった。

試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、最高の笑顔をみせたリトルなでしこ試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、最高の笑顔をみせたリトルなでしこ 最たるものが、左SBで攻守に健闘していた北川ひかる(JFAアカデミー福島)の離脱だ。準決勝ベネズエラ戦での接触プレイで北川は、ピッチからそのまま病院へ搬送された。診断は軽い脳しんとう。だが、練習への復帰は段階を踏まねばならず、決勝出場は絶望的だった。

 FWからSBへコンバートされても、ゴールへの意識が高い北川。「SBからだってドリブルで一気に前線まで運んで自分でシュートすることだってできる。でも、1-1の守備だって絶対に負けません!」と語っていた北川は、ベネズエラ戦で「攻撃的な守備」と表現するのがぴったりなプレイを見せていただけに、その心中は察するに余りある。

また、初めての世界大会、初めての決勝ということで、緊張で腹痛や吐き気をもよおす選手もいた。すべて含めてワールドカップだ。

 スペインとの再戦となった決勝。注目のスタメンは、それまで主に左SHで出場していた宮川麻都(日テレ・メニーナ)を左SB起用。空いた左SFには西田明華(セレッソ大阪堺レディース)が抜擢された。その西田のファーストタッチが日本待望の先制ゴール(前半5分)となる。

※グループリーグ初戦で対戦し、2-0で日本が勝利

 CB市瀬奈々(常盤木学園高)からのロングフィードを右サイドでFW小林里歌子(常盤木学園高)、MF長谷川唯(日テレ・ベレーザ)と素早くつないで、右SHの松原志歩が左足でシュート。これはクロスバーに阻まれるが、こぼれたところを西田が押し込んだ。「打った瞬間にちょっと浮いちゃって、外れたかと思った(苦笑)」という西田のゴールは日本チームにとって、6試合連続の先制点となった。

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