今野泰幸「W杯は初戦から全力。そして最後は『大和魂』で勝負」 (2ページ目)
今野が言う「ドロ沼の期間」とは、昨年6月のコンフェデから、セルビア、ベラルーシ相手に連敗した10月の欧州遠征までのことだ。この間、日本はウルグアイ戦で大量4失点を喫するなど、攻守のバランスを著しく欠いていた。だが、オランダ、ベルギーという強豪相手には結果を出した。何かしら手応えを得たはずだが、今野が「まだまだ」というのはどういう部分なのか。
「オランダ、ベルギー相手にまあまあの内容の試合をして、『こういうサッカーをやれば、強豪国とも渡り合えるな』『僕らのやっているサッカーは間違っていなかったな』ということは確認できた。だから、チームとしてはすごく良かったと思います。
でも、自分としては『まだまだ』ということです。ビルドアップやラインの上げ下げとか、くさびのパスを受ける相手FWへの対応とか......。もっとレベルアップしていかなくてはいけないですね。世界のFWは、コンフェデのときのネイマール(ブラジル代表)のように、一瞬の隙も逃さず、ゴールを奪う。(自分には)まだやることがたくさんあるな、と思っています」
「危機感は常に持っている」という今野。11月の欧州遠征では、それをストレートに実感させられた。FW柿谷曜一朗、MF山口蛍ら、新しい選手たちの出場機会が増えて、ポジション争いが激化したからだ。センターバックでは、昨年7月の東アジアカップ以降、代表に定着した森重真人が、今野と吉田麻也のふたりで不動だった一角を崩しそうな勢いを見せた。そんな森重の存在を、今野はどう見ているのだろうか。
「森重は、体が強くて、空中戦も強い。ビルドアップの仕方が人と違うところも、彼の良さ。相手が前からプレッシャーをかけてきても、落ち着いてボールをさばいて、すごいところにパスを出して、状況を打開できる。自分もそうだけど、森重も"ザ・センターバック"という選手じゃないですからね。ボランチはもちろん、サイドバックもできる。すごくユーティリティーな選手だと思います。自分もそういうタイプなので、(プレイヤーとして)目指しているところは一緒かな、と思っています。
(競争が激化したのは)僕らのポジションだけじゃないし、代表で激しいポジション争いがあるのは当たり前ですよ。競争は大変だし、疲れるけれども、それがないとチームはレベルアップしていかない。最近は、ちょっと慣れがあったんです。『レギュラー組は大丈夫だろう』『どんなに内容が悪くても試合に出られるだろう』という雰囲気がチーム内にあった。今後はより気を引き締めてやらなくてはいけない。新しく入ってきた選手はみんな、いい選手ばかりですからね。それに、これから予想外の選手がさらに加わってくると思うので」
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