ベルギー戦勝利で浮かれる日本に、警鐘を鳴らす遠藤保仁

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi
  • 益田佑一●撮影 photo by Masuda Yuichi

 ザッケローニ監督がメンバーを入れ替えた今回の欧州遠征。閉塞感が漂っていたチームにおいて、新鮮な顔ぶれが並んだことは好材料となったが、違和感はあった。遠藤保仁の名前がスタメンになかったことだ。それも、オランダ戦(2-2)、ベルギー戦(3-2)の両方で――。

オランダ、ベルギー戦ともに後半から出場した遠藤保仁。オランダ、ベルギー戦ともに後半から出場した遠藤保仁。
 オランダ戦の翌日、遠藤は別メニューの調整だったことからも、怪我を抱えていたのは明らかだった。それは、オランダ戦で負ったものではなく、所属するガンバ大阪でJ2リーグを戦う中で負傷し、その怪我を抱えたまま今回の遠征に臨んだという。

 10月の東欧遠征(0-2セルビア、0-1ベラルーシ)でも足首を傷めていたが、このときは2試合とも先発した。だが今回は、試合間隔が中2日だったためにローテーションが採用され、45分限定でのプレイになった。

 興味深いのは、いずれも前半ではなく、後半からの出場だったことである。どちらのゲームも遠藤の登場によって、攻撃のリズムや試合の流れが変わった。オランダ戦のほうが変化は目に見えて明らかだったが、ベルギー戦でも攻撃の形にすかさず修正が加えられた。遠藤は言う。

「前半、(ピッチの)外から見ていて、(日本の攻撃は)そんなにキツそうではなかったけど、どこかでリズムを変えたいと思っていた。特に、ボランチはほとんどノープレッシャーだったのに、前半は簡単なミスでカウンターを受けることが多かったから、それを極力なくそうと。あと、外から見ていてボランチの位置が低いと思ったので、多少リスクを負ってでも、自分が前に行けばチャンスになるんじゃないかと思っていた」

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