【日本代表】酒井宏樹「ドイツは、想像以上にレベルが高かった」

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 益田佑一●撮影 photo by Masuda Yuichi

昨夏移籍したハノーファー(ドイツ)では、満足のいく結果を残せていない酒井宏樹(写真右から2番目)。昨夏移籍したハノーファー(ドイツ)では、満足のいく結果を残せていない酒井宏樹(写真右から2番目)。ブラジルW杯まで508日
『ザックジャパンの完成度』
連載◆第11回:酒井宏樹(前編)

 酒井宏樹は、ため息混じりにこう切り出した。
「昨年は、全然良くなかったですねぇ......」

 2012年は、ロンドン五輪に出場。日本の44年ぶりの4強入りに貢献した。日本代表でも5月のアゼルバイジャン戦でデビューを飾った。欧州遠征ではフランス戦、ブラジル戦ともに出場し、その後のW杯最終予選vsオマーン戦では先発フル出場を果たした。

 だが一方で、ブンデスリーガのハノーファーに移籍するも、なかなか出場機会に恵まれず、リーグ戦17試合中6試合の出場に止まった。2011年シーズンは、J王者に輝いた柏レイソルの一員として躍動。周囲の期待も大きかっただけに、この成績には、本人ならずとも不満を抱かざるを得ないだろう。

「(出場した)6試合のうち半分は、内容的にもまったく満足していません。だから余計に『もっと試合に出場できれば......』という思いが募りました。しかもキヨ(清武弘嗣)や(酒井)高徳ら、同じ五輪代表の仲間が試合に出て活躍していたので、やっぱり焦りもありましたね。焦らないように心掛けてはいたんですけど......。12月くらいになって、ようやく『リーガの動きに慣れてきたかなぁ』と手応えを得ましたが、正直、もっとやらないといけなかった」

 口から出てくるのは、反省の弁ばかり。その原因を、酒井自身はどう捉えているのだろうか。

「う~ん......ロンドン五輪があって、シーズン前のキャンプに出られず、チームに合流したのは開幕の1週間前でした。そこで、チームにはいい右サイドバックがいたので、『自分は(試合に)出られないだろうな』と思いました。しかもチームに合流してから、紅白戦などがほとんどなくて、アピールする場が少なかったことが痛かった。だからといって、五輪に出場したことは一切後悔していません。自分にとって、夢でしたからね。

 与えられたチャンスもなかなか生かせなかったですね。リーグ戦で初のスタメン出場を果たした試合(10月28日/ボルシアMG戦)では、2-0の状況から負けてしまったんです。この試合に勝てば、継続して出られるんじゃないかと思って、意気込んでプレイしたんですけど、負けて本当にショックでした(笑)。リーグ戦2度目のスタメンは、11月17日のフライブルク戦でした。このときは、代表のオマーン戦(11月14日)から戻ってきた直後で、体が重くて思うように動かなかったんです。ミスしないことだけを考えて、自分のプレイがまったくできなかったので、試合が終わったあとは、相当へこみましたね」

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