2012.10.19

【日本代表】ブラジルに大敗した本当の理由は監督にあり

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

ブラジル戦について「結果は残念だが試合へのアプローチには満足している」と語ったザッケローニ監督 ブラジル戦。日本の立ち上がりはけっして悪くなかった。少なくとも大差の負けはなさそうなムードだった。前半13分、ブラジルに先制点をもたらしたパウリーニョのミドルシュートは、そうした意味で意外だった。必然性の低い、素晴らしすぎるシュートだった。2点目のPKもしかり。前半26分までに2失点を奪われるような試合内容ではなかった。

 ザッケローニは試合後、そのことを悔やんだ。「あっさり2点を奪われて冷静さを失った。選手の負けたくないという気持ちが、本能的なプレイを誘発してしまった」と。その後、日本は撃ち合いに出た。パンチ力という点で、相手に数段ヒケを取るにもかかわらず。それが0-4で大敗した原因だ。

 日本にも得点を奪うチャンスはあった。しかし、もし日本が1点を奪うことができていたら、ブラジルはもう3点ぐらい奪っていた可能性は高く(すなわち1-7になっていた可能性は高く)、そういう意味で0-4はまだ救いのあるスコアというべきかもしれない。

 だが、繰り返すが、それもこれも日本があっさり0-2にされた後、本能的なプレイに終始してしまったことに原因がある。半ばパニックに陥ったことと大きな関係がある。ザッケローニはその理由として、そうしたシチュエーションに慣れていない日本の経験不足を挙げた。「少なくとも1-0の状況で、日本がどんなプレイをするのか見たかった」とも語っている。

 だが、こちらが見たかったのは、そうした状況に立たされたときの監督の采配だ。選手がチームとしてではなく、選手個人の本能でプレイするようになってしまった時、監督がどんな行動に出るのか。我々が目を凝らしているのは選手のプレイだけではない。選手の経験不足を口にした監督にも、同時に目を向けたくなる。

 少なくとも監督に経験不足はない。強者相手に、内容的にまずまずの立ち上がりを見せながらも0-2にされてしまった過去を、幾度も持ち合わせているはずなのだ。日本サッカー協会は、本場で積んだその経験と実績に対して高い評価を下し、代表監督として迎え入れた。冷静さを失った選手の経験不足は、致し方のない話である。日本代表には強豪と対戦した過去が不足しているのだから、当然といえば当然だ。 ザッケローニはその経験不足を補うために招聘された人物なのだ。