【日本代表】長谷部誠「南アW杯以降、
成長の度合いが選手個々で違い過ぎる」
所属クラブで試合に出られない状況が続いている長谷部。欧州遠征でも彼本来のプレイは陰を潜めていた。ブラジルW杯まで597日
『ザックジャパンの完成度』
連載◆第9回:長谷部誠
欧州遠征のフランス戦を前にして、長谷部誠には悲壮感が漂っていた。
「今シーズン、クラブではまったく試合をしていないので不安はあるけど、代表に来たらチームで試合に出ていないことなど、何の言い訳にもならない。ピッチに立ったらやるしかないんです」
2010年南アフリカW杯から日本代表キャプテンとして不動の地位を築いてきた長谷部だが、彼は今、非常に厳しい立場にある。所属クラブのヴォルフスブルクでは、開幕からの全試合でベンチ外という状態が続き、その影響からザックジャパンでもやや精彩を欠くプレイが目立っている。実際、9月の親善試合のUAE戦ではミスを連発し、前半だけで細貝萌と交代させられた。
あれから1カ月、状況が好転しない中、フランスと対峙した長谷部は何かしらの手応えを得たのだろうか。
「フランス戦は、個人的にはさっぱりでした。何もなく終わってしまった。体が動く、動かないとかいうよりも、試合勘がないと言われても仕方ないほど、パスの強弱だったり、展開する力だったり、そういう部分の感覚がズレているな、と感じました」
本人が言うのだから、その感覚のズレは相当なものなのだろう。確かにフランス戦ではミスが多く、無難にさばくシーンが目立った。持ち味である、前を向き、突破していくプレイはほとんど見られなかった。
「それは、自分も感じていました。特に前半は相手の勢いもあったけれども、セーフティーにプレイしようとしていた。自分の良さは、ワンタッチ目で自分の前にボールを置いて、そこからどんどん前に出て行くプレイなんですが、(今は)それができていない。それが現状なので、自分はまだまだ、ということです」
おそらくザッケローニ監督の目にも、そう映ったのだろう。長谷部はイラク戦同様、後半17分に細貝と交代した。
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