【名波浩の視点】『史上最強チーム』に
3-0という快勝を呼び込んだザックの「叫び」

  • 益田佑一●撮影 photo by Masuda Yuichi

日本はボールに対するアプローチが早く、オマーンに何もさせなかった。日本はボールに対するアプローチが早く、オマーンに何もさせなかった。 W杯アジア最終予選、日本は大事な初戦のオマーン戦を3-0と快勝。攻守のバランスがよく、非常に安定したゲーム運びができた試合だった。

 オマーンとしては、前半45分を何とか踏ん張って、後半カウンターでわずかなチャンスをうかがっていこう、というゲームプランだったと思う。しかし前半11分に早々に先制されてしまった。それも、あまりにも綺麗な形で崩された。あそこで、思い描いていたプランが崩壊。加えて、立ち上がりの日本は、多少勢いを重視した攻撃が目立っていたけれども、1点取ったあとは、じっくりとポゼッションし始めた。そうなるともう、オマーンには成す術がなかった。

 逆に、日本はプランどおりの戦いができた。それを実現させたのは、まず守備の良さにあると思う。

 ザッケローニ監督は試合中、守備への意識を徹底させていた。なかでも、頻繁に指示を出していたのは、守りに入るスターティングポジション。選手個々に、自分の役割となる「正しいポジションからボールにアプローチしろ」ということを言い続けていた。特に後半は顕著で、FWの前田遼一だろうが、トップ下の本田圭佑だろうが、彼らが守備にかかわらなくてもいいような局面でも、自らのポジションに戻るように口酸っぱく叫んでいた。

 結果、その意識がチーム全体に浸透。クロス気味のボールが1本シュートにカウントされたものの、被シュート0と言ってもいいほど、充実した守備を披露し、それが90分間継続されていた。

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