【日本シリーズ】「小さな差が一番大きい」 筒香嘉智が語った4連敗の現実 DeNAの若手たちが見た王者ソフトバンクの壁 (4ページ目)
【届かなかった頂点、その先にある未来】
そして、ベイスターズにとって今シリーズ最後となる8回のマウンドを任されたのは、プロ5年目の深沢鳳介だった。
今季は一軍での登板を果たし、5勝をマーク。先発投手として着実に成長を遂げてきた右腕にとって、これがポストシーズン初登板だった。ホークスの上位打線を相手に無失点。大舞台でも臆することなく、自らの役割を果たした。
「緊張はしましたけど、自分の持ち味は出せたのかなと思います。中継ぎでブルペンから行ったことも、自分のなかでは新しい発見というか、いろいろな挑戦の仕方が見えましたし、試合を見ているだけよりは、自分がそのなかに入れた経験はすごくよかったと思います」
その経験を前向きに捉えながらも、深沢の目標は明確だった。
「自分は先発を任せてもらえるピッチャーになりたいと思っているので、そのためにも来シーズンはしっかりローテーションを回りたい。ホークスでは自分より年下の前田(悠伍)くんが先発でしっかり投げていましたし、自分も負けたくない。そういう気持ちで見ていました」
3試合が延長戦にもつれ込んだように、決して一方的な内容ばかりではなかった。それでも最後に勝利をつかんだのは、常にホークスだった。勝負どころで1点を奪う力。わずかなリードを守りきる力。そして、相手が勝利を確信しかけた瞬間に、流れを引き寄せる勝負強さ。
筒香や牧が口にした「小さな差」は、そうした一つひとつのプレーに潜んでいたのかもしれない。
ただ、その差を肌で感じられたことにも、大きな意味がある。
度会、松尾、井上、片山、深沢──。日本シリーズという最高峰の舞台で、若い選手たちはそれぞれに課題を見つけ、悔しさを胸に刻んだ。
この4連敗は、決して忘れることのできない経験になるだろう。筒香や牧が語った「小さな差」。それを埋めることは、決して容易ではない。それでも、頂点に立つチームとの差を肌で知ったことは、彼らにとって何物にも代えがたい財産となるはずだ。
いつの日か、あの悔しさがあったからこそ強くなれた──そう胸を張って言える日が来ることを願いたい。若い力が切り拓くベイスターズの新たな未来に期待を込めて、今年の日本シリーズのレポートを締めくくりたい。
著者プロフィール
村瀬秀信 (むらせ・ひでのぶ)
1975年生まれ。神奈川県出身。茅ケ崎西浜高校野球部卒。主な著書に『止めたバットでツーベース 村瀬秀信 野球短編自撰集』、『4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ 涙の球団史』、『気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている』など。近著に『虎の血 阪神タイガース、謎の老人監督』がある。
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