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【プロ野球】「松井がコケたら野球界は沈没するぞ」 広岡達朗が松井秀喜の巨人監督就任に警鐘を鳴らす理由 (2ページ目)

  • 松永多佳倫●文 text by Takarin Matsunaga

 そんな松井氏は、長らく巨人の監督候補として名前が挙がりながら、ユニフォームを着ることはなかった。それだけに、今回の監督就任は巨人ファンにとって待望のニュースだったに違いない。

【スター監督誕生に潜む落とし穴】

 だが、長年にわたって日本球界を見つめてきた広岡氏は、スター選手の監督就任が必ずしも成功を約束するものではないことを熟知している。

 古田敦也、松井稼頭央、立浪和義──。現役時代に球団の顔として活躍したスター選手たちが、引退後に監督を任されてきた。それぞれ置かれた状況は異なるが、現役時代の実績や人気が、そのまま監督としての成功につながるわけではない。十分な支援体制が整わないまま重責を担い、成績不振の責任を一身に背負わされるケースもあった。

 球団の象徴であるスターを監督に据えることで、人気回復やチーム再建を図ろうとする。そうした日本球界の体質に、広岡氏は以前から疑問を呈してきた。ましてや松井氏は、単なる巨人の生え抜きスターではない。日米で実績を残し、世界的な知名度を誇る球界のレジェンドだ。

 かつての「ON時代」の栄光が遠ざかり、盟主としての存在感が揺らぎつつある巨人にとって、松井氏の監督就任はこれ以上ない起爆剤となる可能性を秘めている。

 そして、松井氏の監督就任を語るうえで、避けて通れないのが長嶋茂雄氏の存在だ。松井氏にとって長嶋氏は、1992年のドラフトで4球団競合の末に交渉権を引き当て、自らの手で巨人の主砲へと育て上げた恩師である。そんなふたりの師弟関係は、球団の歴史を象徴する物語のひとつとなっている。しかし広岡氏は、そこにこそ危うさがあると指摘する。

「就任会見を見たが、記者たちの質問は馬鹿げている。長嶋、長嶋と、長嶋関連の質問ばかりして何になるというのだ。長嶋と松井は違うんだ。こんな当たり前のことを言わせるほど、メディアの質は下がっている」

 長嶋氏には長嶋氏の野球があり、松井には松井の野球がある。偉大な師匠の後継者というイメージを押しつけることは、かえって可能性を狭めかねない。広岡氏の言葉には、そんな問題提起が込められている。

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