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【プロ野球】「走らないなら使わない」 高木豊が明かす近藤貞雄の"鬼采配" スーパーカートリオはこうして誕生した (3ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Yasuyuki Takahashi

 それでも近藤は動じず、プロ12年目で33歳になった山下の肩と足の衰えを指摘する一方、脂が乗ってきた高木のスピードを強調。また、三塁手に必要な条件として「肩の強さ、打球を恐れない勇気、ハンドワークの柔らかさ」を挙げ、すべて田代よりレオンのほうが上回っていると主張した。当事者である高木自身、総入れ替えの大コンバートをどう受け止めたのか。

「山下さんは年齢のこともあって、ある程度、動きが悪くなってきたのは確かなんです。ただやっぱり、山下さんのショートは動かしちゃいけなかったですね。守備範囲とかいろんなことを考えたら、僕のほうが上でしたよ。だけど、打球のさばき方はショートとセカンドで違うし、それは山下さんのほうが絶対にうまかったはずです。

 で、山下さんだけじゃなく、田代さんも代えて、三遊間、一二塁間、全部代えたわけですから、慣れるのも大変でした。僕はアマチュアの時からショートはあまりやったことなくて、精神的な辛さもプレッシャーもすごく感じて......。近藤さんとしては、『今年の売り』ということでアイデアを出したんでしょうね。でも、やってるほうは本当に大変でしたよ」

【走らなかったら使わない】

 選手の内面を思いやる代わりに、入れ替えれば必ず好転するという信念のもと、近藤はコンバートを敢行した。そして巨人との開幕戦。1番(遊)高木、2番(左)加藤博一、3番(中)屋鋪、4番(三)レオン、5番(右)ジェリー・ホワイト、6番(一)田代、7番(二)山下、8番(捕)若菜嘉晴、9番(投)遠藤一彦で臨んだ。当初は1番・屋鋪、3番・高木という構想だった。

「屋鋪は出塁率が高くなかったですからね。出塁率のいいほうを先に持ってきたんじゃないか、という気がします。それで加藤さんは細かいことができるし、屋鋪はちょっと器用じゃなかったので。とにかく打って還すところだけでいいんじゃないか、というような話は聞きました」

 とはいえ、前年までおもに7番、8番の屋鋪を3番に置いたのだ。評論家を驚かせ、批判もされ、記者も驚いた。しかし、開幕戦での屋鋪は3安打3打点で決勝三塁打を放ち、1、2、3番に盗塁はなくとも高木は2安打、加藤も3安打と打ちまくり、レオンが3ランを含む5打点。ホエールズ打線が爆発して巨人先発の西本聖を攻略し、12対6で大勝した。

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