【プロ野球】パ・リーグの守備職人に世代交代の波 荒木雅博が語るGG賞初受賞6人の舞台裏 (3ページ目)
── ショートは紅林弘太郎選手(オリックス)が初受賞です。
荒木 内外野の境目の深いところから一塁に大遠投する強肩が紅林選手の魅力ですよね。両リーグ最多の67回、併殺プレーに参加してもいます。5年連続受賞だった今宮健太選手(ソフトバンク)の牙城を源田壮亮選手(西武)が崩し、その源田選手の7年連続受賞の高く険しい牙城を今度は紅林選手が崩しました。わずか5票差でしたが、大いに自信につなげてほしいですね。二遊間の選手というのは、派手なプレーよりも、確実にアウトにする選手がうまいのです。
── ショートにはほかにも有望な選手がいます。
荒木 野村勇選手(ソフトバンク)はクライマックスシリーズ、日本シリーズで球際の強さを遺憾なく発揮しました。私が現役時代、ショートの井端弘和さんのプレーを見て、またアドバイスされながら覚えていったように、野村選手も牧原選手や今宮選手の現役二遊間のプレーを見ながら進歩しているのだなと感じました。
── 宗山塁選手(楽天)のプレーはいかがですか。
荒木 これまで大学生は春秋リーグ戦の最大各15試合ずつだったのが、一気に122試合、それも内野手で出場したのは評価が高いと思います。今後、ゴロ捕球から送球までの一連の動作はどんどんうまくなっていきそうなのを見ていて感じました。それこそダイヤモンド内にいる村林選手、小深田大翔選手、浅村栄斗選手もゴールデングラブ賞を受賞しています。彼らから学ぶことはたくさんあると思います。
【ハイレベルなパ・リーグ外野陣】
── 外野手は、周東佑京選手(ソフトバンク)が2度目、辰己涼介選手(楽天)が5度目、そして西川愛也選手(西武)は初受賞です。
荒木 セ・リーグ同様、"連続受賞"は2年連続の周東選手、5年連続の辰己選手のふたりだけです。まさに、選ばれしふたりですね。
── 周東選手と辰己選手の守備は、どこがどのようにうまいのですか。
荒木 辰己選手は強肩ですよね。たとえばランナー二塁で彼のところに打球が飛んだ場合、私が三塁コーチなら絶対に腕を回しません。肩の強さ、送球の正確性も含め、セーフになる確率が低い。周東選手はやはり俊足を生かして「打球への一歩目」が早くて、落下点に一直線で入ります。さらに、後ろ向きの打球にも強い。
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