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【プロ野球】パ・リーグの守備職人に世代交代の波 荒木雅博が語るGG賞初受賞6人の舞台裏 (2ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi

── 一塁は、ゴールデングラブ賞4度受賞の中村晃選手(ソフトバンク)を抑えて、新外国人のタイラー・ネビン選手(西武)が初受賞です。

荒木 ネビン選手は来日1年目でありながら、「日本人らしい思いやりのあるプレー」を体現しています。外野手登録で、193センチ、102キロの大型野手ですが、いわゆる"3−1"(一塁へのゴロを投手がカバーに入るプレー)の場面で見せる送球が秀逸です。タイミングの取り方、ボールのスピード、そして走り込んでくる投手が捕りやすい位置へ丁寧に投げ込む。その一連の動作は、丁寧で繊細です。

【源田壮亮の牙城を崩した紅林の強肩】

── 二塁は牧原大成選手(ソフトバンク)が初受賞となりました。

荒木 今年は育成選手初の首位打者。そして昨年まで内外野どこを守らせてもうまいユーティリティプレーヤーだっただけに票が割れ、ゴールデングラブ賞を惜しいところで逃がしていました。それが今年はプロ15年目にして初めて選出されました。

 頑張れば報われるという意味で育成選手にとって大きな目標になるでしょう。二塁が本職の私が見ても、足の運び方、ゴロ捕球のバウンドの合わせ方もよく、守備範囲も広いと思います。

── 西武の滝澤夏央選手は、二塁で83試合に出場し、ショートでも54試合守りました。そのため票数が伸びませんでした。ちなみに、滝澤選手も育成出身です。

荒木 身長164センチと球界一の小兵ながら、守備力はほんと高い。たとえば、一、二塁間のゴロを捕球した時、「あれだけのスピードのまま打球に追いついて、どうやって切り返して二塁に投げるんだろう」と思っても、ボディバランスが崩れない。近い将来、ゴールデングラブ賞を受賞できるだけのフィールディングを持っています。

── 三塁は、遊撃からコンバートされた村林一輝選手(楽天)が初受賞です。

荒木 遊撃を守っていても、ゴールデングラブ受賞こそなかったですが、うまかったですからね。アクロバチックかつ強肩で、3度受賞経験のある宗佑磨選手(オリックス)を抑えての受賞となりました。プロ10年目にして打率もリーグ5位(打率.281)。攻守にわたり奮闘しましたね。

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