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【プロ野球】阪神打線はモイネロを攻略できるか 日本シリーズ最大の焦点を伊勢孝夫が徹底分析 (2ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi

 それは言うまでもなく、ボールの軌道、感覚をつかむことだ。近年は科学の進歩で、球速や回転数だけでなく、落下角度や曲がり幅など、緻密なデータを取ることができる。だがバッターの立場からすれば、そうした数値はあくまで参考にすぎず、実際にバットに当てるうえでは役に立たない。結局のところ、実際に打席でボールを見て、対策するしかない。

 幸い、阪神は今季交流戦でモイネロと対戦しているため、打者たちに多少のイメージはあるかもしれない。当然、映像も収集し、確認しているはずだ。とはいえ、今季のモイネロは12勝3敗、防御率1.46(リーグ1位)の成績を残しており、軌道がわかっているとはいえ容易に攻略できる投手ではない。

【ワンチャンスをモノにできるか】

 そんなモイネロへの具体的な対策だが、基本的には真っすぐとカーブが軸になるピッチャーだから、真っすぐを待ってカーブが来たら対応するというのがセオリーである。しかし、モイネロほどのキレがある真っすぐとなると、待っていても対応しきれないだろう。

 さらに大事なことは、早いカウントからしっかり振っていけるかどうかだ。打者心理とすれば、見慣れない球筋だからじっくり見ていきたい。しかし追い込まれてしまえば、今度はカーブに加えて、フォーク、チェンジアップまで頭に入れなければならない。もはや"難攻不落"の左腕と言っていいだろう。

 またモイネロから得点を奪うには、どこを勝負どころと見るかが重要なポイントになる。もちろん、序盤に得点できれば理想的だが、そう簡単にはいかない。おのずと勝負は中盤から終盤になるだろう。

 どんなに優れたピッチャーでも、生身の人間である。モイネロも例外ではない。先発であれば、一度か二度は必ずピンチを招く場面があるはずだ。阪神打線とすれば、そのワンチャンスをモノにできるかがカギになる。

 打者にすれば3巡目くらいになれば、おおよその球筋やタイミングの取り方などはつかめてくる。イニングだと、6回あたりだろうか。そこで一気に潰しにかかれるかどうか。ソフトバンクバッテリーもそれに備えて配球を変えてきたり、工夫してくるはずだ。この駆け引きからも目が離せない。

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