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【日本シリーズ】柳町達の四球が起点となった「95イニングぶり」の覚醒 ソフトバンクが10得点の猛攻でタイに

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro

 ソフトバンク打線が長くて、深かった眠りから目を覚ました。

 地元福岡での連敗は許されないなか、1回表にいきなり先制点を奪われる不穏なスタート。しかし直後の1回裏、難敵と思われた阪神先発・デュプランティエを見事攻略してみせた。

日本シリーズ第2戦、1回裏に勝ち越しの2点タイムリーを放った山川穂高 photo by Sankei Visual日本シリーズ第2戦、1回裏に勝ち越しの2点タイムリーを放った山川穂高 photo by Sankei Visualこの記事に関連する写真を見る

【阪神投手陣から10得点の猛攻】

 柳田悠岐、周東佑京の1、2番コンビが連打で出塁。その後、二死となったが、5番・栗原陵矢がナックルカーブを打ち返して右前適時打として同点に。つづく6番・山川穂高は151キロ直球を右中間フェンス直撃の二塁打を放ち、二者が生還して勝ち越しに成功したのだった。

 ソフトバンクのこんな攻撃を見たのは、じつに"95イニングぶり"だった。

 そもそもポストシーズンに突入して以降、ずっと湿りっぱなしだった。日本ハムと戦ったクライマックス・シリーズ(CS)ファイナルの6試合、そして日本シリーズ第1戦までのチーム得点は「2、3、0、3、1、2、1」と寂しい数字が並んだ。

 さらに紐解くと、1イニング複数得点を挙げたのは、CSファイナル第2戦の8回裏に飛びだした柳田悠岐の3ランの一度のみだった。ほかのイニングは「0」か「1」。これではチームが勢いづくはずがない。

 もっと細かいことを言えば、打線がつながってタイムリーヒットが絡んだイニング複数得点はポストシーズンに入って一度もなかったのである。

 ではレギュラーシーズンはどうだったか。

 最終戦の10月5日のロッテ戦(ZOZOマリン)は5対1と快勝したが、7回表の4得点は山川の満塁弾だった。その2日前のオリックス戦(みずほPayPayドーム)は10対2の圧勝だ。だが、初回の2点は柳町達の2ラン。5回裏には6点のビッグイニングとなったが、山川の押し出し四球、栗原の満塁弾、谷川原健太のソロと、不思議なほどタイムリーが絡まないのである。

 遡ってようやく見つかったのが、リーグ優勝を決めた翌日の9月28日の西武戦(ベルーナドーム)だったことが判明した。3回表に緒方理貢(りく)と川瀬晃(ひかる)のタイムリーで2点を挙げていた。それ以降、じつに「94イニング」もタイムリーが絡んだ複数得点イニングがなかったというわけだ。

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著者プロフィール

  • 田尻耕太郎

    田尻耕太郎 (たじり・こうたろう)

    1978年生まれ、熊本市出身。 法政大学で「スポーツ法政新聞」に所属。 卒業後に『月刊ホークス』の編集記者となり、2004年8月に独立。 九州・福岡を拠点に、ホークスを中心に取材活動を続け、雑誌媒体などに執筆している。

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