WBCでの佐々木朗希の死球がつないだ縁 無名の米独立リーガー、ウィリー・エスカラがチェコ野球を変えた
日本では早々に阪神タイガースがセ・リーグのペナントレースを制したが、これからポストシーズンが控え、残暑さながらの熱い戦いが続いていく。
一方、中欧の夏は短い。9月に入ると日中は気温が30度近くまで上がるものの、朝の冷え込みは日に日に厳しさを増し、長い冬の訪れを感じさせる。
そんななか、チェコの国内最高峰の野球リーグ「エクストラリガ」のチャンピオンチームを決めるチェコシリーズ(7戦4勝制)が行なわれ、ブルノを拠点とする「ドラチ・ブルノ」と「フロシ・ブルノ」の両雄が激突。互いに譲らず、第7戦までもつれる熱戦となったが、レギュラーシーズンを首位で通過し、チェコ・エクストラリーグ最多優勝を誇る名門・ドラチ・ブルノが26度目の王座に輝き、2025年シーズンの幕を閉じた。
現在、チェコリーグでプレーするウィリー・エスカラ photo by Asa Satoshiこの記事に関連する写真を見る
【チェコ代表としてWBCに参加】
歓喜に沸くドラチの選手たちを、敗者のベンチから複雑な表情で見つめる男がいた。アウェイでの第1戦、投手戦の終盤に決勝となる値千金のホームランを放ったものの、ホームでの第5戦でセカンドの守備に入り、自らの送球エラーから大量失点を招いてしまった。このシリーズを制していれば英雄となるはずだったが、このエラーによって戦犯のひとりとなってしまった。
その男の名は、ウィリー・エスカラ。彼の名前を覚えているファンは多いかもしれない。無名の米独立リーガーだったエスカラは、チェコ代表として2年前のWBCに出場。侍ジャパン戦で佐々木朗希から膝に死球を受けたことで、その名を知られることになった。
チェコ代表のエスカラだが、キューバ系アメリカ人である。"キューバ人街"リトルハバナのあるマイアミで、キューバから渡ってきた両親のもとで生まれ育ち、現在も自宅はマイアミにあるという。
「キューバに行ったことはないんだ。スペイン語はまったく問題なく話せるんだけどね」
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著者プロフィール
阿佐 智 (あさ・さとし)
これまで190カ国を訪ね歩き、22カ国で野球を取材した経験をもつ。各国リーグともパイプをもち、これまで、多数の媒体に執筆。国内野球についても、プロから独立リーグ、社会人野球まで広くカバー。数多くの雑誌、ウェブサイトに寄稿している。2011、2012アジアシリーズ、2018アジア大会、2019侍ジャパンシリーズ、2020カリビアンシリーズなど国際大会取材経験も豊富。







