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【プロ野球】阪神の独走Vを許したのは誰の責任か? 広岡達朗が今季セ・リーグ5球団の迷走を斬る (4ページ目)

  • 松永多佳倫●文 text by Matsunaga Takarin

 そして昨年シーズン3位からクライマックスシリーズ、日本シリーズを勝ち抜き、日本一を果たしたDeNA。今年は27年ぶりのリーグ制覇を目指したが、阪神に15ゲーム差以上も離された。

「もはやDeNAは負け慣れだな。昨年の日本一はなんだったのか、というくらい選手たちに勝利への執念が感じられない。世代交代もうまくいっていないし、優秀なのは外国人だけ。その外国人も離脱してしまえば、そりゃ勝てなくなる」

 広岡はヤクルト、DeNAについて、現場だけでなくフロントの責任もあると説く。

「ヤクルトもDeNAも、フロントがあまりに野球を知らなすぎる。経営戦略の方向性そのものを疑いたくなるほどだ。野球を知らないからこそ、『監督を代えればすべて解決する』と安易に考えてしまう。本来フロントの仕事とは、目先の対応ではなく、長期的な改革をどう進めるかにあるはずだ。しかし現実には、チームの成績不振の責任を選手・監督・コーチにすべて押しつけ、経営者だけが安泰という状況がまかり通っている。こんな馬鹿げたことが許されていいのか。GMについても、OBかどうかにこだわる必要はない。むしろ、多角的な視点と多様な分析力を備え、球団のスタイルに合った人材を配置するべきだ」

 広岡は「今シーズンの阪神に限って言えば、戦力が充実し、勝てる時期が来て、選手たちをその気にさせた藤川の手腕は評価すべきだ」と語り、こう続けた。

「監督の力量とは、先発ピッチャーが崩れた時にどう采配するか。そこを見極めなければ、本当の値打ちはわからない。オレなんか、フロントをすべて敵に回してでも勝った」

 最後の最後まで"広岡節"は健在だった。

著者プロフィール

  • 松永多佳倫

    松永多佳倫 (まつなが・たかりん)

    1968 年生まれ、岐阜県大垣市出身。出版社勤務を経て 2009 年 8 月より沖縄在住。著書に『沖縄を変えた男 栽弘義−高校野球に捧げた生涯』(集英社文庫)をはじめ、『確執と信念』(扶桑社)、『善と悪 江夏豊のラストメッセージ』(ダ・ヴィンチBOOKS)など著作多数。

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