【プロ野球】阪神の独走Vを許したのは誰の責任か? 広岡達朗が今季セ・リーグ5球団の迷走を斬る (2ページ目)
「再三口酸っぱく言っているが、巨人で2、3年指導者をやって『おかしいな、うまくいかないな』と思ったら、弱いチームに移っていろいろ学べばいい。弱いチームに行けば、なぜ勝てないのかが如実にわかる。選手が一生懸命やっていても、チーム成績が上がらないことは多い。その要因のひとつは、経営者が金を出しすぎることにもある」
さらに広岡はこう続ける。
「一生懸命やって個人の成績が上がっても、それは必ずしも勝つための成績ではない。個人成績を伸ばせば、チームが優勝するというものではないのだ。勝つためにどうするかを考え、選手に教えることこそ監督の役目であり、やらなければならないことなのだ。それを選手任せにして『頼む、頼む』と言うだけの監督ではダメだ。今のセ・リーグは、そういう監督ばかりに見えた」
【役割を与えることで意識は変わる】
たとえば1998年のロッテを見ると、チーム打率.271はリーグトップ、チーム防御率3.70もリーグ2位だったにもかかわらず、最下位に沈んでいる。本来なら優勝していてもおかしくない成績だが、試合運びのまずさが露呈したとしか思えない。
一方で、2001年の近鉄(現・オリックス)と2018年の西武は、チーム防御率最下位ながらリーグ優勝を果たし、2011年の中日はチーム打率.228とダントツのリーグ最下位だったにもかかわらず優勝している。ちなみに、2014年のヤクルトはチーム打率.276とトップだったが、最下位に沈んでいる。
長いペナントレースを戦ううえで大事なことは、勝てる試合を確実にモノにし、劣勢の試合展開では無理に逆転しようとせずに"捨て試合"をつくることだ。
そうはいっても、所詮は机上の空論であり、ケガ人などアクシデントは突然やってくる。今シーズンの巨人がまさしくそうだった。その不測の事態に対応するのが監督の仕事であり、腕の見せどころである。
もちろん、阿部監督も自分なりに考え、勝利を目指したと思うが、結果が出ない以上、効果があったとは言えない。
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