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【プロ野球】阪神の独走Vを許したのは誰の責任か? 広岡達朗が今季セ・リーグ5球団の迷走を斬る (3ページ目)

  • 松永多佳倫●文 text by Matsunaga Takarin

 それは中日にも言えることだと、広岡は指摘する。

「昨年まで3年連続最下位の中日は、阪神戦こそ五分の成績だが、他球団には大きく負け越している。その最大の理由は、勝ちパターンの投手陣がまだ確立していない。こいつが先発の時は、セットアッパーは誰々、リリーフは誰々と決め、勝ち星を重ねていく。人間というのは、目的がわからないと一生懸命やらない生き物なんだから。しっかりとした役割を与えることで、意識がガラッと変わることは往々にしてある」

 若きエース・高橋宏斗は決して不調というわけではない投球を続けているが、ここぞという場面でのエラーや好機での凡退が重なり、なかなか勝ちに恵まれていない。チーム全体が負のループに陥っている印象だ。優勝を目指して一丸となる気概が見えない以上、モチベーションをどこに置いたらいいのかわからず、それがそのまま成績に反映されている感じだ。

【もはやDeNAは負け慣れ】

 昨年、シーズン終盤まで首位を走りながら9月に大失速し、優勝どころかAクラスさえも逃した広島は、今年も厳しいシーズンとなっている。

「広島はスターだった丸佳浩が巨人へ移籍したように、主力選手が次々と流出してしまう体質を抱えている。球団の根底には『優勝ばかりすると金がかかるから、たまに優勝すればいい』という発想があるのだろう。さらに監督やコーチにはOBばかりを重用し、実際に指導力のある人材がほとんどいないのが実情だ」

 FAで補強しない代わりに、自前の選手を育てて勝つ広島のやり方は終始一貫している。たしかに一時的には強くなるが、主力がFAで流出してしまうため、長期的に戦力を維持できないのが特徴だ。しかも主力流出の影響は数年後にじわじわと表われ、ボディーブローのように効いてくる。

 2021、22年と連覇を果たしたヤクルトだが、それ以降は今季も含め低迷が続いている。

「ヤクルトは、もはや球団の悪しき伝統とも言えるほど故障者が多すぎる。これは環境面に問題があることの証拠だろう。本来であれば、もっと専門的なスタッフを配置し、トレーニング施設の充実を図るべきだ。これだけ故障が続出するのは、選手個々の問題ではなく、球団側に明らかな責任と構造的な問題がある」

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