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身長164センチのプロ野球選手、西武・滝澤夏央の矜持 「低くてもやれるという姿を見せることが自分の使命」 (3ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

【周囲と違う特徴は自分にとっての強み】

 それから西武入団4年目の今季。前年までセカンドのレギュラーだった外崎修汰がサードにコンバートされたチーム事情もあってチャンスをつかみ、源田壮亮をベンチに追いやってショートで先発出場する機会も増えている。

 すべて、自分の意志と実力でつかみ取ったものだ。

 そうして立っているプロ野球のフィールドで、身長164センチ、体重65キロの滝澤は、大男たちのなかで見るからに小さい。いろんな意味で、これまでも「小さいのに」という目を向けられてきただろう。本人には気になるものだろうか。

「ぶっちゃけ、気にはなりますね。というより、『見てろよ』みたいな気持ちのほうが強いですけど」

 原動力は負けず嫌いと、野球が大好きという気持ちだ。周囲と明らかに違う特徴は、自分の強みと捉えている。

「プロ野球選手のなかで一番小さいというのは、アピールポイントだと思っています。大きい選手には、僕のようなプレーはできないと思いますし。この体でプロ野球選手になった以上、『身長が低くてもやれる』という姿を見せることが、自分の使命のように感じています。

 プロ野球選手になったからには、ひとつの目標があります。それは憧れの存在になることです。身長で悩んでいる人に、自分が活躍する姿を見てもらって、『小さくてもできるんだ』っていうところを見てもらいたいなという気持ちですかね」

 レギュラー奪取を目指した今季。数字的にはまだ十分とは言えないが、ある程度のところまできた感覚はある。

「自分のなかで、毎年キャリアハイを残すのは当たり前のことだと思っています。今季ここまでこれだけ試合に出られているということで、最低限のことはできているんじゃないかと、自信にもつながっています。だからこそ、さらに上を目指して、決して満足せずに挑戦し続けようという気持ちになれるのだと思います」

 守っては二遊間のどちらかで起用されているが、ショートへのこだわりはあるのだろうか。

「あまりないですね。でも、ひとつのポジションにこだわりたいのはあります。セカンド、ショートを交互というより、1つのポジションを誰にも渡さないようにしたいです。でも、それでも試合に出させてもらっているので、今は今で頑張りたいと思います」

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