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身長164センチのプロ野球選手、西武・滝澤夏央の矜持 「低くてもやれるという姿を見せることが自分の使命」 (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

【野球を始めた時から夢はプロ野球選手】

 滝澤は新潟県上越市出身で、関根学園は日本スキー発祥の地と言われる金谷山の麓にある。学校の授業でスキーやスノーボードもやったというが、腕前は「人並み」だったという。

 一方、野球の実力はすでに県内に知れ渡っていた。ショートが本職ながら、高校3年夏の県大会では背番号1をつけてマウンドに登った。

 卒業後の進路を具体的に考え始めた頃は、まだ大学進学を視野に入れていた。ある強豪大学の練習会に参加すると、監督に惚れ込まれた。だが滝澤には、もうひとつの思いがあった。野球を始めた頃からずっと、目指してきたのは最高峰の舞台だった。

「プロ野球選手っていう目標は、野球を始めた保育園の頃から一回もブレていません。『将来の夢』を書く機会がいろいろあるじゃないですか。恥ずかしくて正直言いたくなかったけど、僕は絶対プロ野球選手になりたいという気持ちのほうが強かったので、恥ずかしがらず、『プロ野球選手になる』と言っていました」

 恥ずかしくても人前で夢を言い続けたのは、口にすることで目標達成への推進力に変えるためだった。

「言うからには、それなりの成績を残さないといけないという気持ちでやってきました。高校に入った時、1年生と3年生では体も違いますし、やっぱり無理かなと思いましたけど。でも高校2年の秋に見に来てくれたスカウトの方がいて、そこまで自分が来たんだったら、最後まで目指そうって。そこで自信が出たというか。スカウトが見に来るまでは、そんな自信は全然なかったですね」

 迎えた2021年のドラフト会議。西武から育成2位で吉報が届いた。考え方次第では大学経由で4年後、支配下での指名を目指す道もあったが、滝澤は目の前の機会に飛びついた。

「大学に行って4年後、プロに行ける保証もないなかで、ここにチャンスがあるんだったら行きたいなと思いました」

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