【プロ野球】打者のレベルも上がっているのになぜ"投高打低"? 中垣征一郎が語る野球の成熟と本質 (2ページ目)
「小谷野の場合、新しい方法でも恐れず、どんどん動きを変えられるんですよ。こちらから『それ、動きが多すぎるわ。そうじゃなくて、こうしてみよう』って言うと、実際にやってみる。それで『あっ、このままいってみよ。しばらくこれでいきますわ」って言って続ける。それで、その動きになじんで遊びまで出てきた時に、自分本来のリズムに戻して微調整するんですね」
最終的に「自分本来のリズム」に戻すにしても、小谷野は恐れずに動きを変え、トライしていた。プロ5年目の2007年にレギュラーをつかむと、2010年には自身初の打率3割を残して打点王のタイトルを獲得。それだけの実績も、小谷野が自身のなじみの動きに固執しすぎなかったからではないか。
粘り強いバッティングが持ち味の日本ハム・中島卓也 photo by Koike Yoshihiroこの記事に関連する写真を見る
【単打に徹した打撃で台頭した中島卓也】
そう考える中垣はもうひとり、日本ハムで成長を見守った選手の名を挙げる。
「"ファウル王"で有名になった中島卓也。彼はバットとボールの接点が全然合わないところから、スイング幅をどこまで短くして、最後、手元に来てから振ってもどうやれば間に合うか、ぎりぎりヒットにできるか。ここから始めようという練習をずっとやっていて、ひとつの形になりました」
遊撃のレギュラーに定着した2015年と2016年、中島は両リーグ最多のファウルを記録した。俊足巧打が光って2015年には盗塁王に輝いた背景には、長打を捨て、単打に徹する打撃への転換があった。選手に対して「あなたはこれを捨てなさい」という言い方はいっさいしなかった中垣だが、打撃については「捨てられるところがあるか否かを含めた取り組み」が必要だという。
「ふたりの例は今の投手たちとは球速がやや違う時期のもので、どこまで現在の打撃のパフォーマンスについて示唆するうえで参考になるかはわかりません。ただ、打撃というのは、試合で投手に対した時に何を出せるか、という点で、投球とはパフォーマンスの性質が大きく異なるといえます。
何かを捨てないと......というのはもちろんピッチングにも言えますけど、ピッチャーは自分で動くので、自分さえうまくなればパフォーマンスは上がります。バッターはどんなに自分のなかでうまくなっても、相手ピッチャーも毎回変わって、試合のなかでそれをそのまま発揮できるとは限りません。
しかも、まず二軍のピッチャーを打てるようになると、今度は一軍のピッチャーと対戦してまた新しいボールを見る。このなかでクリアしていくということが難しいわけで。相手ピッチャーがよくなればなるほど、バッターが大きなブレイクスルーを得ていくのが容易ではないのは、間違いないと思います」
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