高木豊はパ・リーグ新監督たちを高評価 楽天・三木肇監督も「腹が据わっている」 (3ページ目)
【楽天の三木監督は「野球勘のよさを感じる」】
――最後に楽天の三木肇監督について、選手の起用法をどう見ていますか?
高木 一度、一軍監督の経験があるだけに腹が据わっています。状態の悪い選手は実績に関係なく外しますし、厳しさもある。昨季ベストナインの辰己涼介、昨季に12球団で唯一全試合フルイニング出場した小郷裕哉も、状態が上がらなかったためスタメンから外し、二軍に落としましたよね。
そういう決断を大胆にできますし、個人のことはあまり頭に入れていませんよね。常にチームを最優先に考えているところがすごくいい。遠慮がないというか、あくまでもチームが勝つための選手起用に徹しているなという印象です。
逆転勝利を収めた(4月17日の)ソフトバンク戦では、ここぞの代打で村林一輝を使ってホームランが出た。相手ピッチャーはロベルト・オスナだったのですが、村林は真っすぐに強くて状態もよかったですし、起用が見事にハマりましたね。
――采配はどう見ていますか?
高木 作戦面で、センスというか野球勘のよさを感じます。選手の特徴や相手バッテリーの動きを見て、ここはエンドランのほうがいい、バントのほうがいいかとか、いろいろな角度から結論を導き出していることが感じ取れるんです。二軍監督も経験していますし、選手のことをよく知っているということもあると思いますけどね。おそらく彼は策士ですよ。
――課題を挙げるとすれば?
高木 宗山塁を起用しているから村林も、といったように選手に気を遣いすぎないことですね。確かに村林も実力者なので、ショートで使わなければと頭をよぎることもあるでしょう。
でも、やっぱり宗山を大きく育ててほしい。すでに数試合休ませていますが、休みはいらないですよ。ヘトヘトになっても使い続けるくらいの厳しさを乗り越えさせてレギュラーに育てていってほしいです。村林をサード、宗山をショートで先発させる起用もしていますしね。
――チームの中心選手として育てるなら、今は休みはいらない?
高木 休みを与えると、時として「今日はちょっと休みたいな」と思うようになってしまうのが人間ですから。よっぽどの理由があるならいいのですが、開幕して約1カ月の段階で休みがあるのは、僕的には「ナシだな」と思うんです。近い将来に球界を代表するショートになる可能性が高い選手だと思いますし、WBCのような国際大会でも日本の中心選手になれる逸材なだけに、厳しく育てていってほしいです。
【プロフィール】
高木豊(たかぎ・ゆたか)
1958年10月22日、山口県生まれ。1980年のドラフト3位で中央大学から横浜大洋ホエールズ(現・ 横浜DeNAベイスターズ)に入団。二塁手のスタメンを勝ち取り、加藤博一、屋鋪要とともに「スーパーカートリオ」として活躍。ベストナイン3回、盗塁王1回など、数々のタイトルを受賞した。通算打率.297、1716安打、321盗塁といった記録を残して1994年に現役を引退。2004年にはアテネ五輪に臨む日本代表の守備・走塁コーチ、DeNAのヘッドコーチを2012年から2年務めるなど指導者としても活躍。そのほか、野球解説やタレントなど幅広く活動し、2018年に開設したYouTubeチャンネルも人気を博している。
著者プロフィール
浜田哲男 (はまだ・てつお)
千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。
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