高木豊が語るセ・リーグ新監督 阪神・藤川球児、中日・井上一樹のここまでの評価は? (3ページ目)
――どう改善していくべきでしょうか?
高木 当然、バッティングを教えることは大事ですが、キャンプの時点からプッシュバントを徹底的に覚えさせてもよかった。今の中日にはそういうことが必要です。満塁の場面で内野手の守備位置が下がっているのに、振り回してポップフライや三振というシーンも見ますが、バントという選択肢があっていい。そこでワンアウト取られても、チャンスは続くわけじゃないですか。打つのを待っていてもタームリーが出ないのは、昨年に数字で実証されていますしね(2024年のチーム得点圏打率.226)。
――井上監督は、就任当初より"モチベーター"としての能力が期待されています。
高木 選手に気分よくプレーさせ、選手に好かれることも大事ですが、弱いチームは改善点が多々あります。選手に対しての厳しさは絶対に必要ですし、それはクールでなければできません。まずは嫌われてもいい。2、3年経った時にチームが勝てるようになり、選手たちの給料が上がったら、監督は尊敬されて好かれるようになるんです。
藤川監督は指導者経験ゼロからスタートして、戦いながら監督としての考え方を構築していっている状態。一方で井上監督は、矢野燿大監督時代の阪神で一軍のヘッドコーチを務め、中日でも二軍監督を務めた。そこで、監督としての理想像を構築していたと思うんですが......今はそれが崩れ始めているような気がします。
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【プロフィール】
高木豊(たかぎ・ゆたか)
1958年10月22日、山口県生まれ。1980年のドラフト3位で中央大学から横浜大洋ホエールズ(現・ 横浜DeNAベイスターズ)に入団。二塁手のスタメンを勝ち取り、加藤博一、屋鋪要とともに「スーパーカートリオ」として活躍。ベストナイン3回、盗塁王1回など、数々のタイトルを受賞した。通算打率.297、1716安打、321盗塁といった記録を残して1994年に現役を引退。2004年にはアテネ五輪に臨む日本代表の守備・走塁コーチ、DeNAのヘッドコーチを2012年から2年務めるなど指導者としても活躍。そのほか、野球解説やタレントなど幅広く活動し、2018年に開設したYouTubeチャンネルも人気を博している。
著者プロフィール
浜田哲男 (はまだ・てつお)
千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。
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