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ヤクルト塩見泰隆、完全復活へ決死の覚悟で挑む2025年「もうセンターは自分の定位置じゃない」 (5ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya

 塩見に今シーズンの目指すところを聞くと、「個人的な目標は決めてないです」と答えた。

「1試合1試合をしっかり戦って、ケガをせずにずっと一軍にいられたらと思います。去年は143試合出場と言っていましたけど、開幕して十何試合かで腰を痛め、そのあとのケガがあってシーズンが終わってしまった。

 さっきまで『チームワーク、チームワーク』と言ってきましたが、今年は若い頃に立ち返って、個人プレーになることがあるかもしれません。体のこともありますし、自分をしっかり見つめ直し、なおかつ優勝を目指していきたい。自分にとっては難しいシーズンになると思います。自分のことだけに貪欲といったら語弊がありますけど、まずは自分の結果を出して、チームも同じくらいに大事なので、その両方をしっかり求めてやっていきたいですね」

 髙津監督は今シーズンの塩見について、「何番を打って、何本打って、何盗塁して、ポジションはどこでとか具体的なことはほとんど考えてないです」と言った。

「元気で戻ってくれさえすればいいので、要求することは特にないです。1本のヒットやひとつの守備、走塁で試合の流れやベンチの雰囲気を変えられる。そういう選手はなかなかいないですが、塩見はそんな選手です。どの選手も大事ですけど、やっぱり塩見にはグラウンドに立ってほしいですし、ベンチにいてほしいと思っています」

 塩見の復活はチームに勇気にもたらし、相手チームにとっては大きな脅威となるに違いない。

著者プロフィール

  • 島村誠也

    島村誠也 (しまむら・せいや)

    1967年生まれ。21歳の時に『週刊プレイボーイ』編集部のフリーライター見習いに。1991年に映画『フィールド・オブ・ドリームス』の舞台となった野球場を取材。原作者W・P・キンセラ氏(故人)の言葉「野球場のホームプレートに立ってファウルラインを永遠に延長していくと、世界のほとんどが入ってしまう。そんな神話的レベルの虚構の世界を見せてくれるのが野球なんだ」は宝物となった。以降、2000年代前半まで、メジャーのスプリングトレーニング、公式戦、オールスター、ワールドシリーズを現地取材。現在は『web Sportiva』でヤクルトを中心に取材を続けている。

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