細川成也はなぜ中日に移籍して覚醒したのか? 和田一浩が伝えたアドバイスの中身 (2ページ目)
── いわゆる「投手の決め球を待つ」ということですね。
和田 ただ変化球を狙っていてストレートに対応すると、タイミング的に差し込まれます。その時はよくても、僕の場合はそれをすると調子を崩しやすかった。だから、とにかく始動を早くしてストレートを待ってしっかりタイミングを取り、そこから対応していく。そのほうが1年間を通して好不調の波が抑えられ、いい結果を残すことができました。
【細川成也を育てた感覚はない】
── 細川成也選手はバットを上下にヒッチさせたあと、オープンスタンスから振り抜く打撃フォームが和田さんそっくりです。2024年シーズンは2年連続20本塁打以上を達成するなど、チーム三冠。初のベストナインにも選出されました。
和田 僕はどの選手に対しても「この打撃フォームにしなさい」と言ったことはありません。僕の現役時代とは違って、今は情報が豊富で、コーチの話だけでなく選択肢がたくさんあります。細川の長所は、長打力、体の強さ、スイングの速さです。しかしDeNAに在籍した6年間はそこを生かしきれず、現役ドラフトで中日に移籍。ある意味、追い込まれた状況だったこともあり、すべてを僕にまかせてくれました。
── 素質開花にあたり、どんなことをアドバイスしたのですか。
和田 彼はパワーがあったので、力で打とうとする力感をすごく求め、体を一生懸命使うことに注力していたのです。格闘技と違い、野球はボールやバットなど、道具を使う球技です。まず「バットをうまく使うための体の使い方」から始めました。
── 具体的にはどういうことですか。
和田 簡単に言うなら、力まかせではなく、「軽い力でも打球を遠くに飛ばせる」「スイングは力じゃない」ということです。バットのグリップから引いてくる感覚、右ヒジをヘソの前に持ってくるという、いわゆる"インサイドアウト"ですね。この動作に取り組みました。
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