検索

高山郁夫がオリックスコーチ時代に起こした内角革命 唯一例外だった沢村賞投手とは? (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

【西勇輝は真似できない投手】

── オリックスでインコースの重要性を伝えたあと、どんな変化が見られましたか?

高山 中心捕手のひとりだった山崎勝己は、だいぶ変わったなと感じました。以前まではやや慎重なリードをするタイプに見えたのですが、球場の広さや風向きを見て大胆にリードするようになりました。

── 実際にインコースに投げ込む投手陣には、どうアプローチしたのでしょうか。

高山 捕手からインコースのサインが出た時、「どうしよう」と感じるか、「待ってました」と感じるかでは、全然違います。選手とはキャンプから「インコースを練習しようや」と話をしてきました。ブルペンから実戦形式に入っていくなかで、徐々にインコースの重要性が浸透していったように感じました。

── インコースの使い方がうまかった投手は誰でしょうか。

高山 西やディクソンはインサイドを使えていましたね。特に西は指先感覚がすばらしくて、両サイドにコントロールできていました。

── 西投手は高山さんがオリックスに移籍した2014年以降、3年連続で2ケタ勝利と活躍しました。

高山 私がソフトバンクのコーチだった時、小久保裕紀(現・監督)の引退試合(2012年10月8日)でノーヒット・ノーランを達成された苦い記憶もあります(笑)。横から見るとさほど迫力を感じないのに、不思議とスコアボードにゼロを並べていく投手でした。

── 実際に近くで接してみると、西投手はどんな投手でしたか。

高山 真似できない投手だと感じました。彼はマウンドプレートの一塁側ギリギリに立って、左足を大きく開くセットポジション。そこからホームに向かって左足を踏み出すので、対戦相手の投手と絶対に足跡が重ならないんです。この投球スタイルは、やろうと思ってもなかなかできるものではありません。両サイドをきっちり使えるし、真っすぐもスライダーの質もすばらしかったですね。

3 / 4

キーワード

このページのトップに戻る