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高山郁夫がオリックスコーチ時代に起こした内角革命 唯一例外だった沢村賞投手とは? (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

── 配球のこととなると、捕手にも要望を伝えなければいけませんね。

高山 捕手とのコミュニケーションは、バッテリーコーチのいる前で取っていました。もちろん越権行為にならないよう注意はしましたが、裏でコソコソと話すのではなくバッテリーコーチの前で自分の意見を共有することを大切にしていました。

【細川亨の加入でホークス投手陣は激変】

── ソフトバンクでは、細川亨捕手(現・二軍コーチ)がいました。やはりインコースを使っていたのでしょうか。

高山 彼が2011年に西武から移籍してきて、チームは大きく変わりました。彼のリードは、たとえば立ち上がりの3イニングは徹底的にインコースを攻めてエサをまき、残りの6イニングはアウトコース中心に切り替えるとか。時には緩いボールを何球も何球も続けるとか。相手からすれば「しつこいリードだ」と思ったはずです。私も「こんなリードがあるんだな」と勉強になりました。彼のリードには、自信と勇気がありました。

── キャッチャーひとりで、それほど変わるのですね。

高山 彼の移籍前は、ソフトバンクは西武戦を苦手にしていたくらいです。移籍後は、逆に西武の打者が細川を意識するあまり、迷ったところもあったのでしょうね。時に配球が偏って痛い目にあうこともありましたが、投手陣全体に「インコースに投げられるのが当たり前」という雰囲気をつくった細川の功績は大きかったです。

── どうしてインコースを使えない捕手が多いのでしょうか?

高山 やはり、甘く入ったら長打の危険性があるからでしょう。たとえば東京ドームのように狭い球場だと、長打を警戒して配球がアウトコースに偏る傾向があります。

── 配球がアウトコースに偏ると、なぜまずいのでしょうか。

高山 バッターに「どうせインコースにはこないだろう」と思われて、アウトコースに思いきり踏み込まれてしまいますから。たとえ東京ドームでも、外一辺倒では手詰まりになります。投手のタイプや状況を見ながら、時にはインコースをしっかりと突いて、バッターに「インコースも攻めてくるんだな」と印象づけることが大事だと思います。

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