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「打撃だけならプロでも通用する」 カリビアンシリーズで日本の4番を務めた現役営業マンの正体 (4ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

 アメリカ、メキシコ、日本のスカウトらが熱視線を注ぐなか、ジャパンブリーズの独立リーガーやNPBを自由契約となった選手たちは契約につながるアピールをしようと緊張の面持ちを浮かべる一方、佐藤はまるで力みのない表情だった。公式戦のグラウンドに立つのはおそらくこれが最後だ。バハ・カリフォルニア州を照らす日光を全身で浴びながら、ラテンの名手たちと野球を満喫した。

「中南米には危ないという印象があったけど、来てみると全然違いました。危ないところはもちろんあると思いますが、人の温かみをすごく感じられて。大学で就職活動している頃に商社も考えたけど、危険な国に行くこともあると聞いて、無理と思ってやめたんです。でも大学生の時に中南米に来ていたら、また考え方が変わっていただろうなと。いつか中南米で仕事をできるように、僕も頑張りたいなと思いました」

 カリビアンシリーズは中南米最高峰の舞台であり、フリーエージェント(自由契約)の選手たちが野球人生を切り開くべく勇姿を見せる場という意味合いもある。

 一方、日本から有給休暇をとって参加した会社員の佐藤には、今後の人生につながる価値観を得られた大会だった。

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