「打撃だけならプロでも通用する」 カリビアンシリーズで日本の4番を務めた現役営業マンの正体 (2ページ目)
佐藤が断った翌日、ラミレスはネット上にある彼の打撃動画をチェックしたうえで、さらなる誘いをかけた。
「オレだったら、もっと君のバッティングを伸ばせるから、おいで。楽しいよ」
1949年に始まったカリビアンシリーズは数々のメジャーリーガーも出場し、世界的に認められる権威ある大会だ。佐藤はその歴史を聞いたことがあり、「面白そう」とジャパンブリーズへの参加を決めた。
【MLB通算144勝投手からヒット】
だが、すでに野球は引退しており、今は会社員の立場だ。月曜から金曜まで出社し、毎日帰宅は夜9時頃になる。10時からウエイトトレーニングをして体を鍛え直したが、バットを握るのはたまに近所の公園で素振りをするくらいだった。
昨年12月、ジャパンブリーズの遠征でベネズエラを訪れ、現地ウインターリーグのオールスターチームと親善試合を行なうまで実戦練習は一度もできなかった。単純に、練習場所がなかったからだ。
「ベネズエラでは体が全然動きませんでした。その後は2回くらい(母校の國學院久我山)高校に行って、室内での置きティーとか、すごくスモールな練習をしました。あとはイメトレですね。映像で中南米のピッチャーを見て間合いをとれば、何となくこういう感じかとわかるので。あとは素振りをしながらイメージで練習している感じです」
今年2月1日、そうして迎えたカリビアンシリーズでは、ジャパンブリーズで最も打棒を発揮する。佐藤はメキシコに行く前から、それなりに自信があったと語る。
「社会人の7年間で、自分のバッティングをかなり研究しました。理論がだいぶできてきたので、正直、体を鍛えたら戦えるかなと思っていたんです。実戦感覚がどうかというのは多少ありますけど、体が一番大事なので」
カリビアンシリーズでは4試合ともに4番指名打者で先発し、16打数5安打で打率.313。初戦のドミニカ戦ではMLB通算144勝のジョニー・クエトからレフト前安打を放った。続くプエルトリコ戦では右中間を破る三塁打を含め、5打数2安打の活躍を見せた。
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