検索

かつての鈴木誠也を彷彿とさせる練習量とスイングスピード カープ3年目の内田湘大に期待したくなるワケ (2ページ目)

  • 前原淳●文 text by Maehara Jun

 プロ2年目の昨季も前半戦は思うような結果が出ず苦しんだが、シーズン途中から自主練習の時間を試合後から試合前へと変更した。朝5時に起床し、ストレッチや準備を整えたあと、マシン相手にバットを振った。

 朝食後に球場へ移動し、試合前の打撃練習では朝の練習で得た感覚を新井コーチと話し合いながら調整を重ねた。その結果、昨季8月以降は打率.280、2本塁打、11打点と安定感が増し、OPSもシーズン平均の.588から.679に向上した。

【タイミングの取り方を模索】

 シーズン終了後の秋季キャンプでは2年連続で一軍キャンプに選出。紅白戦や練習試合などの実戦9試合では結果を残せなかったが、首脳陣からは結果を求められていたわけではなかった。

 内田の課題は「タイミングの取り方」にある。昨季はノーステップ打法を試したが、秋季キャンプでは「自分に合った形を探る時間」と位置づけられた。新井監督や新井コーチは、20歳の内田がもがきながら方向性を探る姿を温かく見守った。新井監督は言う。

「練習では意識してできるけど、試合で実践するのは難しい。練習と試合を繰り返しながら、少しずつレベルを上げていく。バッティングの成長は、地道な作業の積み重ねだから」

 新井コーチも、昨秋最後の紅白戦での2四球を評価した。

「メカニック的にはよくなかったけど、2つフォアボールを取れた。今までなら4タコ(4打数無安打)で、ひどい三振をしていたと思う。3年目は一軍で勝負させたいと思って、2年間やってきました。間違いなく成長しているし、楽しみです」

 オフには再び鈴木誠也と自主トレを行ない、悩み続けたフォームがついに定まった。両足を狭めた構えから、投球に合わせてスイングを始動するスタイルに落ち着いた。

「飛距離もだいぶ伸びたし、手応えを感じています。タイミングの取り方が苦手なので、シンプルに、無駄なくいける形にしました。今が一番しっくりきていて、打球や飛距離を見ても、今のほうがいいのかなと思う」

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る