検索

岩隈久志から見た田中将大は「本来のピッチングに近づいている」 巨人での200勝達成に向けた改善点は? (2ページ目)

  • 白鳥純一●取材・文text by Shiratori Junichi

――その際に提示された条件についてはどう思いましたか?

「今だから言えることですが、他球団に比べて格段によかったわけではありませんでした。若いうちは、より好条件を出してくれる球団に惹かれる気持ちも多少はあったでしょう。でも僕の場合は、MLB挑戦を決めた時に『アメリカで現役生活を終えてもいい』と覚悟していましたし、日本に戻る時には『まだまだ自分がやれるところを見せたい』という気持ちが強くなっていたので、条件面はさほど気になりませんでした。

 ベテランに差し掛かった選手が移籍するチームを選ぶ際は、キャリアを重ねるなかで出てきた自分の新たな目標や、やり残したことをどのように達成して最後の花道を飾るか。自分の力が必要とされているか、といった思いがチーム選びの決め手になるケースが多いと感じます」

――田中投手のチーム選びは、どのような点を重視しているように感じましたか?

「あくまで僕の推測に過ぎませんが、田中投手は何年間もヤンキースでプレーした選手ですし、『金額面に対する執着はあまり強くないのでは?』と思っていました。それでも野球を続けようとしたのは、200勝達成に向けた思いからでしょう。やはり、目標に近づけるかどうかを重視していたような印象です」

【復活のカギとなるのは?】

――田中投手は2023年11月に右肘関節の鏡視下クリーニング術を受け、2024年は一軍でわずか1試合の登板に終わりました。岩隈さんも36歳の時に右肩の手術を経験されていますが、ベテランと呼ばれる時期に手術を決断した心境や、復帰までの思いを聞かせてください。

「今振り返ってみると、30代中盤で手術を選ぶことの心理的なハードルがあったと思いますし、手術後も若い頃よりも身体の回復が遅くなっていることを痛感させられました。そのため、地道なリハビリを我慢強く続けなければなりませんでしたが、さまざまな経験を重ねてきたので、若い頃よりも焦らずに、落ち着いて取り組めたかなと思います」

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る