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プロ生活20年の西山秀二が挙げた最も印象に残っている投手は? 「1センチ単位でコントロール」 (3ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi

── 「打者・西山」として対戦した印象深い投手は?

西山 やはり"大魔神"佐々木主浩のフォークです。同い年の佐々木とは仲がよくて、「オレの時は肩口からのカーブを放ってこい」と言ったら本当に投げてきたり(笑)。でも、三振記録か何かがかかっているとき、フルカウントのあとフォークを投げてきました。僕も打率3割の好調時だったので「とらえた!」と思ったのですが、かすりもしない空振り三振でした。「これが噂の消えるフォークか」と驚きました。日米野球でバッテリーを組んだ時、ストレートの軌道で来てズドーンと落ちる。「シゲ(谷繁元信)はいつもこんなのを捕っていて大変やな」と思いましたね。

【指示が具体的で的確だった三村監督】

── 現役時代は杉浦忠さん(南海)、阿南準郎さん、山本浩二さん、三村敏之さん、達川光男さん(いずれも広島)、堀内恒夫さん(巨人)、コーチ時代は原辰徳さん(巨人)、立浪和義さん(中日)と計8人の監督に仕えました。

西山 みなさんすばらしい監督でしたが、僕が一番やりやすかったのは三村監督です。たとえば走者のリードであれば、「最低限、セーフティーな何歩までリードを取りなさい。それ以上リードを取れる選手はもっと出てくれていい」と、指示が具体的かつ的確でした。僕が捕手の時も「ベンチの顔色をうかがわなくていいんだ。西山に任せているんだから、おまえが考えて責任を持ってサインを出せばいいんだよ。それを結果論でとやかく言わない」と信頼してくれました。

── 現役時代を鑑みて、西山さんがバッテリーコーチの時に注意したことは何ですか。

西山 結果論でモノを言わないことです。よく「初球に気をつけろ」と言うコーチがいますが、捕手はみんな気をつけています。それをポテンヒットになったら「だから気をつけろと言っただろ」と言い、打者を抑えたら「気をつけろと言ったおかげだ」と言う。どちらも結果論でしかありません。そうすると、捕手はウエストするしかなくなります。

── コーチとして巨人、中日で計7年間。一軍バッテリーコーチとして二度のリーグ優勝、日本一にも導きました。野球評論家としても、具体的でわかりやすい解説が印象的です。

西山 現在の知識があったまま現役時代にプレーできたらと思いますし、学んだことを後進に伝えられたらと思っています。


西山秀二(にしやま・しゅうじ)/1967年7月7日、大阪府出身。上宮高から85年のドラフトで南海から4位指名を受け入団。プロ2年目の87年シーズン途中、トレードで広島に移籍。広島では94年、96年にベストナイン、ゴールデングラブ賞をそれぞれ獲得。リーグを代表する捕手として活躍。2004年オフに巨人に移籍し、05年の1年間プレーし現役を引退した。引退後は巨人、中日のコーチを歴任。現在は評論家として活躍している

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