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古川遼のソフトバンク入団辞退に見る育成制度の功罪 アマチュア指導者、スカウトたちが語る本音 (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko

 もうだいぶ前のことだが、育成入団の交渉にあたるスカウトに「もし息子さんが育成指名されたらいかがなさいますか?」と質問したことがある。15人近い現職(当時)スカウトにうかがって、さすがに「うーん」と答えを濁す方がほとんどだったが、それでも「全力で阻止する」というスカウトが4人いて、「積極的に行かせたい」という人はひとりもいなかった。

 実際、現職スカウトの息子がドラフトで指名されたケースは、先年逝去された日本ハムの今成泰章スカウトの次男・亮太氏(浦和学院→日本ハム、のちに阪神)以来ないが、もし"該当者"が現れたら、これは微妙なことになりそうだ。

【スカウトたちの本音】

「ウチはプロ志望届を出す場合、『支配下でも育成でも構いません』というのを、決め事にしています」

 これまで何人もの教え子をプロ球界に送り出しているある高校野球の監督は、決然と言いきる。

「そこのところは、本人とご家族を交えてしっかり話し合い、確認して、一筆までもらっています」

 そういえば数年前、あるスカウトからこんな話を聞いたことがある。

「私の担当に支配下か育成か微妙な選手がいて、監督に聞いたら『支配下指名でないと行きません』と言う。ところが後日、選手本人は『育成でも行きます』と。こういうケースはあとで揉めることがあるから、リストから外しました」

 スカウトのなかには、今のドラフト制度について改良の必要性を感じている人も少なくない。

「選手たちに出している調査書には、育成でも入団するかどうかを明記する欄がほとんどの球団はあると思うんですけど、そこにある程度、拘束力を持たせてもらいたいというのが本音です。選手たちも正式な文書として球団に提出する以上、それなりの覚悟というか、こちら側が安心できるような内容の調査書でないと、やりとりする意味がないと思うんです」

 もっと真に迫った"主張"もあった。

「ほんとは、調査書にメディカルチェックの診断書をつけて送り返してほしいです。スポーツ選手として採用するわけだから、メディカルチェックは大切なのに、指名してからチェックというのは、順序が逆じゃないかと思うんですよね」

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