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独立リーグ・茨城アストロプラネッツ流「GM論」 色川冬馬が力説する人材育成と組織づくりの新常識 (3ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

【ビジネスサイドとの関係を構築】

 以上のようにさまざまな観点から球団にまつわるコンテンツを整え、地元で受け入れてもらえるようにしていることが、ひいては選手の成長にもつながっていくわけだ。

 GMがそうした面まで責任を持ってチームづくりのうえで、気になるのは予算に関する決裁権をどの程度持っているのかだ。

「ウチの球団で言うと、基本的に選手たちや首脳陣の人件費、首脳陣、道具代などは相談しながらです。(会社経営の)全体の細かい数字までは見えてないので、だいたい年間これくらいという予算を与えられて、そのなかでシーズンを戦い抜くというイメージです」

 チームに割り当てられた予算をどのように使っていくのか。GMは「こうしたい」と言えば話が通るように、ビジネスサイドと関係を築いておくことが重要になる。

「そういう関係性をつくっておくのもGMの仕事です。僕が社長、副社長、経理と信頼関係をしっかり構築しておくことが、結局は選手のためになる。それが僕にとって、チーム外の部分での責任になります」

 GMとして、ビジネスサイドへの報告は細かく行なう。たとえば、その日の試合ではどんなことがあったのか。選手やチームの成長など、社長が見えにくい部分を定期的に報告する。そうした詳細なコミュニケーションが、球団をうまく回すために重要になるからだ。

 色川GMはイラン代表や香港代表を率いた経験があり、アメリカでトラベリングチームを運営するなど海外野球にも精通する。そのなかで多くの「GM」を見てきたが、野球の本場アメリカでもさまざまなあり方があるという。

「アメリカと日本のGMで何が違うかと言えば、『人によって違う』というのが正直なところです。たとえばお金に得意なGMの場合、いわゆるマネーゲームでチームをつくっていくのが上手。

 対して僕のようなタイプは、細かい数字のことは得意ではないけれど、もっと人間づくりの部分で力を発揮する。選手が成長して次のステージに行くにはどうするか、ということです。僕の知っている人でも、お金に関するところはGM補佐に任せて、選手たちの成長やチームを強くするための移籍関連に注力しているGMもいます」

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