トライアウトで参加者最速の154キロマーク 元楽天・清宮虎多朗は狭き門をくぐりぬけ日本ハム入り (2ページ目)

  • 杉田純●文 text by Sugita Jun

【参加者最速の154キロをマーク】

 そんな清宮がトライアウト参加を決めたのは、10月末くらいだったという。

「ギリギリまで悩んでいましたね。正直、トライアウトを受けたところでNPBに行ける確率は低いと思うんですけど、まあいろんな可能性を探れるし、来年トライアウトがあるのかもわからないので、ひとまず受けたほうがいいかなと思いました。練習も兼ねてというか、『こんな状態ですよ』っていうのを見せられたらいいなと」

 丁寧に言葉を選びながらトライアウト前の心境を語ったが、清宮の言う「こんな状態」は、この日のマリンスタジアムで一番といってもいいほどの注目を浴びた。

 トライアウトはカウント0−0から打者2人と対戦する形式で行なわれたが、清宮は1人目の菅野剛士(元ロッテ)との対戦で全球ストレートを投じ、三球三振に仕留めた。しかも152キロ、153キロ、154キロと尻上がりに球速を上げ、154キロはこの日参加した32人のピッチャーのなかで最速だった。

 つづく鈴木将平(元西武)には甘く入ったフォークをライト前に運ばれたものの、ここでもストレートは150キロ台を計測し続けた。

「シーズン中はあまりよくなかったのですが、すごくいい状態に持ってくることができました。トライアウトでどうなるかって感じで臨んだのですが、いいパフォーマンスを出せてよかったと思います」

 高校時代も楽天でも、大事な場面で思うように力を発揮できなかったが、この日の清宮は違った。

「(トライアウトを)受けてよかったです。満足というか、シーズンとは違っていい状態で投げることができてよかった」

 清宮の自己最速は161キロだが、ここまで速くなったのはトミー・ジョン手術から復帰したあとだったという。ちなみに、高校時代の最速は145キロだった。

「プロに入ってから徐々に球速が上がっていき、150キロまで出るようになってからケガをしました。それでもケガ明けにいきなり153、154、155キロと出るようになって......その時は若干ヒジが痛かったのですが、その翌年に(体が)フレッシュになって、腕が振れるようになり、161キロが出るようになった感じです。本当にそういう(球速が上がる)未来を想像しながらリバビリに取り組み、なんとか乗り越えられたのでうれしいですね」

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