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トライアウトで参加者最速の154キロマーク 元楽天・清宮虎多朗は狭き門をくぐりぬけ日本ハム入り

  • 杉田純●文 text by Sugita Jun

 12球団合同トライアウトから1週間経った11月21日、日本ハムが育成選手として元楽天の清宮虎多朗(せいみや・こたろう)を獲得することが発表された。

 トライアウトを経て再びNPBに入れるのは1年に数人と、そのハードルは極めて高い。今年はトライアウト終了から1週間近く経っても参加者のNPB復帰は一向に報じられず、特に厳しさを増している印象だった。清宮の日ハム入りは、そんななかで訪れた朗報だった。

トライアウト後、日本ハムと育成契約を結んだ元楽天の清宮虎多朗 photo by Murakami Shogoトライアウト後、日本ハムと育成契約を結んだ元楽天の清宮虎多朗 photo by Murakami Shogoこの記事に関連する写真を見る

【不完全燃焼に終わった高校時代】

 今年のトライアウトはZOZOマリンスタジアムで行なわれたが、奇遇なことに清宮がプロ入り前、最後に公式戦のマウンドに立ったのもZOZOマリンスタジアムだった。それだけにトライアウトを終えたあと、清宮はこんなことを口にした。

「高校最後、ここで負けたんで、何か不思議な縁を感じるというか......すごく投げやすい球場だなと思います」

 清宮は千葉県八千代市出身で、高校は地元の八千代松陰高校に進学した。2年生の秋にエースの座をつかむと、秋の県大会で最速145キロを記録。そのストレートと身長190センチの恵まれた体格を武器に注目を集め、甲子園出場の期待も高まった。

 高校3年の2018年、夏の甲子園は100周年の記念大会となったため出場校枠が拡大。千葉も東千葉と西千葉に分かれてトーナメントが行なわれた。清宮にとっては甲子園の土を踏むチャンスが増えたが、八千代松蔭は西千葉大会2回戦でサヨナラ負けを喫し、最後の夏はあっけなく終わった。

 しかも清宮は指のマメを潰した影響で、この夏はほとんど登板できず、最後の試合もリリーフでマウンドに上がり、2回0/3を1失点という内容だった。

 高校時代は不完全燃焼で終わったが、清宮は育成ドラフト1位で楽天に入団する。その後、支配下を目指して奮闘したものの、プロ3年目の2021年にトミー・ジョン手術を受けることになる。

 2022年から実戦に復帰し、今年4月には待望の支配下選手入りを果たした。だが一軍の壁は高く、3試合の登板で防御率12.00という結果に終わり、戦力外通告を受けることとなった。

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著者プロフィール

  • 杉田 純

    杉田 純 (すぎた・じゅん)

    1996年生まれ、東京都出身。大学卒業後、金融機関勤務を経てボートレース専門紙「ファイティングボートガイド」の記者に転身。現在はボートレース取材の傍ら、野球の記事執筆も手掛け、12球団合同トライアウトは22年から3年連続で取材。目標はこの欄で紹介できるような著書を書けるようになることと、舟券の年間回収率100%超え

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