今中慎二が振り返る中日のピッチャー陣 髙橋宏斗以外が勝てなかった理由を分析した (2ページ目)
【髙橋宏斗は「開幕一軍で投げなくて大正解」】
――髙橋投手はフォームの修正などの調整に時間がかかり、シーズン序盤は出遅れながらも、終わってみればキャリアハイ(12勝4敗、防御率1.38)でした。
今中 開幕二軍スタートだったので、本人も相当落ち込んでいましたよね。ただ、中途半端な状態のまま、開幕一軍で投げなくて大正解でした。あの状態で仮に開幕一軍でスタートしていたら、今季のような数字は残せなかったと思いますよ。
しっかりと調整できて、一軍での初登板でいいパフォーマンスができた(7回無失点)。次の試合も含めて好投が2試合続いたことも自信につながったと思います。
――フォーム修正もそうですが、精神面の復調も大きかったでしょうか?
今中 そう思います。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)などでもあれだけのボールを投げていたわけですから。フォームをいじったぐらいで極端に変わるわけではないと思います。
今年の春季キャンプでは状態が悪かったのですが、「ちょっと実戦で投げれば変わるかな」と思っていたんです。でも変わらなかった。そこでようやく本人が気づいたというか、「これではダメだ」という部分があったんだと思います。結局のところ、自信を持って投げられるようになれば、あれだけのパフォーマンスを発揮できるということ。いかに、そういう部分を一軍の試合で出せるかじゃないですか。
――シーズンを通して自信を持って投げているように見えました。
今中 投げて、抑えてを繰り返して自信がついているので、どんどん勝負ができる。フォアボールを出してしまっても、切り替えて抑えていました。シーズンの最後はちょっとバテていたので抜けるボールも増えていましたが、シーズンを通して投げていれば当然あることなので。
――今中さんはいいピッチャーの条件のひとつとして、「ギアの上げ下げができること」を挙げていますね。
今中 彼は、状態がいいときは特にそれができるピッチャーです。シーズン中に、そういう駆け引きができるようになったと思います。
2 / 4