【日本シリーズ2024】DeNA日本一の陰に「『嫌われてもいいや』と覚悟して...」短気決戦の心を伝えたメンタルコーチの存在 (2ページ目)

  • 石塚 隆●取材・文 text by Ishizuka Takashi

【心を支えるコーチの存在】

 結果、DeNA打線は火を噴いたわけだが、試合後に靏岡コーチに話を訊くと安堵した表情で次のように答えた。

「とにかく選手たちがよく準備して試合に入ってくれたので、そこに尽きると思います」

 また、靏岡コーチが「傾向やデータで収まらない部分を意識したい」と先に述べているが、そこで重要になってくるのがアナログの部分。すなわち、選手の気持ちや心のありようなどもこの舞台では大事な気がしてならなかった。

 クライマックスシリーズ(CS)からこの日本シリーズにかけて、チームの雰囲気がちょっと違っていた。練習を見ていても、明るさはあるのだがピリッとした空気が漂っている。当然と言えば当然なのだろうが、首脳陣も含めて明確なビジョンのもと、覚悟をもって日本シリーズ制覇をイメージしているように感じられた。

 そこでキーマンになってくるのが、遠藤拓哉メンタルスキルコーチだ。ポストシーズン中は、普段以上に選手や首脳陣とコミュニケーションを取っている姿が目についた。

 遠藤コーチは、2021年の東京オリンピックでソフトボール女子の金メダル獲得を心理面で支えた、日本のスポーツ心理学のパイオニアだ。さらなるレベルアップをするにはメンタル面での向上が必要と踏んだDeNAは、遠藤コーチを招へいし、2022年からチームに帯同している。

 これまで多くの選手たちが、遠藤コーチのおかげでグラウンドに立つ際の心の作り方、精神のコントロール、マインドの切り替えなどができるようになったと感謝を述べているのを何度も耳にしてきた。

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