立浪和義が中日でやりたかった野球とはなんだったのか? 里崎智也と五十嵐亮太は「不透明なまま」と厳しい評価 (4ページ目)

  • 長谷川晶一●文 text by Hasegawa Shoichi

里崎 育成から支配下になった松木平優太を大切に育てたり、リハビリ明けの梅津晃大を中10日ぐらいで回しながら、ケガのなかでマネジメントを試みたり、いろいろやるべきことは遂行できていたと思う。確かに先発陣の誤算はあるけど、それでも彼らが5、6回を投げてくれたら、「あとはリリーフよろしく」でいい。一応の勝ちパターンがあるというのは他球団に引けを取らない強みですよ。

五十嵐 その点は、「勝利の方程式」が崩壊したまま、最後まで固定できなかったヤクルトとの違いですね。ただ、最初の話題に戻るけど、立浪監督がやりたかったことはなんだったのか、それは実現できたのかという点は不透明なままだし、「得点力不足の解消」がなされていない以上は、厳しい評価を下さざるを得ないですね。

里崎 監督の評価は結果だけしかない。打撃陣でいえば、確かに課題は解消していないよね。でも、二遊間を中心に若い選手が育ちつつあって、投手陣も多少の誤算はありながらも、整備されつつあるね。

五十嵐 今シーズンの開幕前は評論家の評価も高かったですね。やはり、質量ともに揃っていた先発陣と盤石のリリーフ陣がいるのは心強いから。とにもかくにも「課題は打線」ですね。

里崎 そう、ドラゴンズは前評判はそんなに悪くなかった。でも、思いどおりにいかないのが難しいところだよね。

五十嵐 一方で、何かのきっかけでガラッと変わる可能性も感じますよね。立浪監督就任以来、3年続けて下位に沈んでいるけれど、来シーズン以降、何かのはずみで一気に浮上する可能性も高いと思います。

里崎 その「何か」を見つけること、引き出すことが難しいんだけどね(笑)。

(中編:佐々木朗希の5年目をふたりがズバリ評価 メジャーに移籍しても通用するのか?>>)

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【プロフィール】

里崎智也(さとざき・ともや)

1976年5月20日生まれ、徳島県出身。鳴門工(現鳴門渦潮)、帝京大を経て1998年のドラフト2位でロッテに入団。正捕手として2005年のリーグ優勝と日本一、2010年の日本一に導いた。日本代表としても、2006年WBCの優勝に貢献し、2008年の北京五輪に出場。2014年に現役を引退したあとは解説者のほか、YouTubeチャンネルなど幅広く活躍している。
公式YouTubeチャンネル『Satozaki Channel』

五十嵐亮太(いがらし・りょうた)

1979年5月28日生まれ、北海道出身。1997年ドラフト2位でヤクルトに入団し、2004年には当時の日本人最速タイ記録となる158キロもマークするなど、リリーフとして活躍。その後、ニューヨーク・メッツなどMLBでもプレーし、帰国後はソフトバンクに入団。最後は古巣・ヤクルトで日米通算900試合登板を達成し、2020年シーズンをもって引退した。現在はスポーツコメンテーターや解説として活躍している。

著者プロフィール

  • 長谷川晶一

    長谷川晶一 (はせがわ・しょういち)

    1970年5月13日生まれ。早稲田大学商学部卒。出版社勤務を経て2003年にノンフィクションライターとなり、主に野球を中心に活動を続ける。05年よりプロ野球12球団すべてのファンクラブに入会し続ける、世界でただひとりの「12球団ファンクラブ評論家(R)」。主な著書に、『詰むや、詰まざるや 森・西武 vs 野村・ヤクルトの2年間 完全版』(双葉文庫)、『基本は、真っ直ぐ──石川雅規42歳の肖像』(ベースボール・マガジン社)、『いつも、気づけば神宮に 東京ヤクルトスワローズ「9つの系譜」』(集英社)、『中野ブロードウェイ物語』(亜紀書房)、『名将前夜 生涯一監督・野村克也の原点』(KADOKAWA)ほか多数。近刊は『大阪偕星学園キムチ部 素人高校生が漬物で全国制覇した成長の記録』(KADOKAWA)。日本文藝家協会会員。

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