巨人・菅野智之はなぜ前年4勝から劇的復活を遂げたのか? 阿波野秀幸が好調の要因を徹底解説

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi

 過去、最多勝3回、最優秀防御率4回と「球界のエース」に君臨していた菅野智之(巨人)だったが、ここ数年は苦しんだ。それが今季は一転、現時点(9月14日現在、以下同)で両リーグトップの14勝を挙げるなど、4年ぶり優勝を目指すチーム同様、快進撃を見せている。はたして、復活を遂げた要因は何なのか? 昨年まで巨人の一軍から三軍の投手コーチを計13年間務めた阿波野秀幸氏に話をうかがった。

今シーズン、劇的復活を遂げた巨人・菅野智之 photo by Sankei Visual今シーズン、劇的復活を遂げた巨人・菅野智之 photo by Sankei Visualこの記事に関連する写真を見る

【「スガコバ」コンビの再結成】

── 菅野投手は2020年に14勝2敗で最多勝に輝いたあと、21年は6勝7敗、22年は10勝7敗、そして昨年は4勝8敗でした。

阿波野 復活の最大の要因は、やはり体調面で本来の自分を取り戻したことだと思います。昨年は春のキャンプから試行錯誤しながら調整していましたが、右腕痛で戦線離脱。その影響もあって成績を残せませんでした。昨年末はオフを返上してトレーニングを続け、その努力が結実したということでしょう。開幕前に菅野のコメントを見聞きして、手応えを感じているんだと思っていました。

── 技術的にはどうですか。腕始動の投球フォームにしたり、少し体重が増えた時期もありましたが......。

阿波野 投手はスタミナの部分で、脂肪も必要ではあります。ただ昨年はかなり走り込んだようで、体にキレが戻ってきました。菅野といえば、代名詞はスライダーですが、体のキレが戻ったことで、ストレートに力強さが出てきました。配球パターンを研究されるなか、もう一度ストレートを見つめ直したのでしょう。また、プレートの踏む位置を一塁側から三塁側に変更するなど、工夫も見てとれます。

── 小林誠司捕手との「スガコバ」コンビも復活しました。

阿波野 それが今季復活した2番目の要因です。昨年は、134試合に出場し、ベストナインを受賞した大城卓三が好調なこともあって、小林は21試合の出場にとどまりました。それが今季、"守り切る野球"を標榜する捕手出身の阿部慎之助が監督に就任し、守りのいい小林、総合力のある岸田行倫を含めた"捕手複数制"を敷いています。

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