巨人・菅野智之はなぜ前年4勝から劇的復活を遂げたのか? 阿波野秀幸が好調の要因を徹底解説 (2ページ目)
── 小林選手のリードはどこがいいのでしょう。
阿波野 小林は同い歳ということもあって、菅野智之という投手を知り尽くしています。後輩捕手だと、リードに遠慮が出てしまう部分があるのですが、そんなことはないし、小林も菅野の引き出しを熟知しています。それに小林は試合に出場しなくても、ベンチで投手にアドバイスを送っていましたし、よく野球を見ていました。
【戸郷翔征ら若手から受けた刺激】
── 今季の菅野投手は、例年に比べて奪三振数は減っていますが、コントロールが抜群によくなった印象があります。
阿波野 もともとコントロールは抜群でした。今シーズンの菅野について、「打たせてとる技巧派への転身」と言う人もいますが、今年35歳。スライダーで打ちとるパターンを中心とした投球から、打者を見てストレートで押したり、変化球でタイミングを外したり、「角(かど)が取れてきた投球」という表現があっているように思います。相手の研究もあり、毎年連続して多くの三振は奪えないものです。菅野はかつて投球回180前後で、最多奪三振のタイトルを獲っています。今年達成した通算1500奪三振は、槙原寛己さんを上回るスピード記録でした。
── それ以外に復活の要因はありますか?
阿波野 若手にも刺激を受けていると思います。4年連続2ケタ勝利を狙う戸郷翔征、2年連続2ケタ勝利を狙う山崎伊織が、3連戦の初戦を任されるなか、菅野は一時期6連戦目の日曜日に先発していました。そんな意地もあったのでしょう。カード初戦が大事な一方、カード3試合目はメンタルの強さが必要です。「1勝1敗から勝ち越す」とか「0勝2敗から一矢報いる」などの難しさがあります。また新監督の1年目というのは、アピールしなければならない。そういった部分も、菅野にとってモチベーションになったのかもしれないですね。
2 / 3