【ヤクルトファーム・戸田の悲喜交々】苦しむドラ1ルーキー、若手の成長を願うベテラン野手、先発を目指す元最優秀中継ぎ投手... (5ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya

ブルペンでピッチングをする(写真左から)清水昇、柴田大地、西舘昂汰 photo by Shimamura Seiyaブルペンでピッチングをする(写真左から)清水昇、柴田大地、西舘昂汰 photo by Shimamura Seiyaこの記事に関連する写真を見る

【セットアッパーから先発へ】

 戸田で試合がある日は、午前9時から球場でのアップが始まるが、寮の室内練習場ですでに動き始めている選手もいる。ベテランの石川雅規(44歳)は「7時前には治療をしたり、トレーニングをしたりしています」と話した。

 清水昇(27歳)も7時からウエイトを1時間みっちりやってから球場に向かう。

「シーズン中はそんなに追い込むトレーニングはできないのですが、戸田では今日は足の日、今日は腕の日、今日は背中の日......といった具合に、部位ごとにやれているので、それは今までになかったことで、いい経験になっています」

 これまでセットアッパーとしてチームを支えてきた清水だったが、今シーズンは17試合の登板で防御率7.27と振るわず、2度目の登録抹消となった。

「ここまでは悔しい気持ちもあり、不甲斐なさもあります。だからこそ、この2カ月、3カ月をファームで過ごしていくなかで、自分のことを見つめ直す時間になればいいなと。正直、投げやりになりがちな部分もあるのですが、戸田のこの暑さのなかでやっても体調を崩さずにできていますし、ここを耐えたら体も気持ちもまた強くなるんじゃないかと思っています」

 現在は先発としての調整を進め、試合では投げる球種の割合も変化している。

「伊藤(智仁)コーチや二軍のコーチ、ブルペン捕手の方たちに話を聞きながら、毎回課題を持ってやっています」

 8月17日の楽天戦では4イニング目に7失点するなど苦しい登板となったが、清水は前を向いた。

「今までだったら3イニング目にヘロヘロになっていたのですが、あの試合では3イニング目に走者を出してから三振を3つ取れた。まだ先発になってから1カ月なので、3イニング目にしっかり抑えられたのはいい経験ですし、4イニング目に乱れてしまったのもいい経験になりました。だからこそ4イニング目、5イニング目の難しさを、今後味わっていけたらいいかなと」

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