高木豊が「選手が育たない」理由を語る 巨人・門脇誠、DeNA・度会隆輝ら若手の起用法に警鐘 (3ページ目)
――改善していくための手段は?
高木 監督やコーチに精神的な強さが必要です。DeNAのルーキー、度会隆輝は開幕から起用され、新たなレギュラーがひとりできたような空気がありましたが、打てなくなったりエラーなどをするたびに「なぜ代えないんだ?」「なぜ、ファームに落とさないんだ?」という批判が大きくなっていった。
それでファームに落とし、調子が上がってきたら一軍に上げて使う。でも、またエラーをして度会の精神的にガタガタになり、また使われなくなる。厳しい時期があっても使い切らないと、強くならないんですよ。周りの環境がそうさせないというか、踊らされてしまっているというか......。そんなことを繰り返していたら、選手は「スランプの脱出方法」がわからないままで終わってしまいます。
――チームによっては、あらかじめひとつのポジションを複数の選手で回していく想定で起用していることもあるのでは?
高木 そういうケースもありそうですね。シーズン中に筋肉量が落ちた選手は試合に出さない、練習させない、という方針で選手起用をしているチームもあると聞きますし。どの選手が出ても同じようなレベルを保てるのであればいいのかもしれませんが、なかなかそうはいきません。特に若い選手は、試合に出続けることによって、レギュラーとしての責任感を含めて育っていく。繰り返しになりますが、やはり監督やコーチに精神的な強さが求められると思います。
【プロフィール】
高木豊(たかぎ・ゆたか)
1958年10月22日、山口県生まれ。1980年のドラフト3位で中央大学から横浜大洋ホエールズ(現・ 横浜DeNAベイスターズ)に入団。二塁手のスタメンを勝ち取り、加藤博一、屋鋪要とともに「スーパーカートリオ」として活躍。ベストナイン3回、盗塁王1回など、数々のタイトルを受賞した。通算打率.297、1716安打、321盗塁といった記録を残して1994年に現役を引退。2004年にはアテネ五輪に臨む日本代表の守備・走塁コーチ、DeNAのヘッドコーチを2012年から2年務めるなど指導者としても活躍。そのほか、野球解説やタレントなど幅広く活動し、2018年に開設したYouTubeチャンネルも人気を博している。
■元プロ野球選手のYouTuberのパイオニア
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著者プロフィール
浜田哲男 (はまだ・てつお)
千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。
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