先輩・大西宏明さんが語るベイスターズが筒香嘉智を獲得した意義 「彼の経験、野球に対する姿勢、そして人間性。すべてチームにとってプラスになる」 (2ページ目)

  • 杉田純●文 text by Sugita Jun

 また、選手として当時から目を見張るものがあった。

「これはもう、一流選手になるんやろうなっていう印象でした。高卒1年目にして、バッティング技術、体の使い方、あとは野球に対しての考え方っていうのもね、野球を貪欲に追求するような性格でした」

 大西や村田修一とともに行なった自主トレでも、筒香は黙々と自分が決めたメニューをこなすなど、いい意味での頑固さはプロ入り当初から見せていたという。

 プロ入りして4年間は筒香もプロの荒波に揉まれたが、5年目の2014年に打率3割、22本塁打をマークすると、一気にチームの主軸へと成長する。アメリカに渡るまで6年連続で2ケタ本塁打を記録し、2016年には本塁打と打点の二冠を獲得。侍ジャパンの4番も務めるなど、名実ともに球界を代表する選手となった。

 ただ、どんなに実績を積み上げても、大西とって筒香は「かわいい後輩」のままであり、人間性は変わらなかった。大西は現役引退後の2012年に大阪で焼肉屋をオープンしたが、筒香はたびたび店に顔を出してくれたという。

「天狗になることもないですし、歳を重ねてウチの店に後輩を連れてきてくれた時に『あぁ、先輩になったんや』って、それくらいの変化ですよ。僕のなかではいまだにかわいい後輩です」

 ベイスターズの4番、そしてキャプテンだった頃は、どこか表情も硬く、近づきがたい雰囲気があったのではないだろうか。

「それはね、ゴウ(筒香)が変わったんじゃなくて、メディアのみなさんがそういう風に"筒香像"っていうのをつくり上げたんじゃないかと思うんです。筒香嘉智っていうのはこうあるべきだというのを、みなさんがつくった。野球選手ならば、ベイスターズのキャプテンならば......みたいなものをあいつが感じとって、そういう振る舞いをしたんじゃないですかね」

 筒香のピリッとしたオーラは、あえて醸し出していたものではないかというのが、大西の見立てだ。

「自分の言動に対する影響力をわかっていたんじゃないですかね。ゴウがヘラヘラしていたら、『ベイスターズってこういうチームなのか』って思われるじゃないですか。そうならないように、まず自分を律していたんじゃないですかね」

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