プロ野球・外国人選手の「投高打低」はなぜ起きた? 薮田安彦が助っ人事情を解説 (2ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi

【平均球速が格段にアップ】

── 外国人打者が苦戦する一方で、投手は先発や抑えで活躍しています。今年も新外国人は、先発ではアンダーソン・エスピノーザ(オリックス)、リリーフではアンドレス・マチャド(オリックス)、アルバート・アブレイユ(西武)が結果を残しています。

薮田 日本人打者は、やはりスピード系のボールに弱さがあると思います。来日する外国人投手の球速を見ると、150キロは超えていますし、変化球の曲がりも大きい。さらに上背があって、角度もあります。そうした投手たちがある程度ストライクゾーンに投げ込んでくれば、打つのは容易ではありません。

── 薮田さんがメジャーで投げていた頃より、球速や変化球はレベルアップしていると。

薮田 リリーフになると、96〜97マイル(約153〜155キロ)を超えてくるのは当たり前ですから、私がメジャーで投げていた15年前より平均球速は格段に上がっています。

── 大谷翔平選手(ドジャース)も通ったというシアトルのトレーニング施設「ドライブライン・ベースボール」では、最新機器を使った動作解析から、数値化されたデータをもとにトレーニング方法を反映させています。ラプソードやトラックマンなども、日本よりはるかに活用しているわけですね。

薮田 メカニックに関して、体をどう使えばもっと腕が振れるのかとか、強いボールが投げられるのかとか、そのあたりの情報は日本よりはるかに先進的で科学的です。

── メジャーでやれるかどうかの投手は、日本ならそれなりの年俸がもらえるということで来日することはあるでしょうか。先述したエスピノーザは4500万円、マチャドは1億3600万円、アブレイユは1億5000万円、DeNAのアンドレ・ジャクソンは1億4600万円、アンソニー・ケイは1億1600万円、ローワン・ウィックは1億1000万円(金額はいずれも推定)です。

薮田 育成にはそれなりの時間を要しますし、山本由伸投手(ドジャース)や山﨑福也投手(日本ハム)が抜けたオリックス、今永昇太投手(カブス)の抜けたDeNAは、フルに働いてくれる外国人投手を即戦力として獲得したということでしょう。ただ、メジャーで実績があるからといって、日本でも活躍できるとは限りません。私も「日本の野球はどうなのか?」「日本に行けばどのくらいの給料がもらえるのか?」と、よく聞かれました。なかには、まだ日本を下に見ている選手はいると思います。そのなかで、日本の野球に対応しようという"姿勢"を持っている選手かどうか、そこを見極められるスカウトの力が必要になってきます。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る